奇跡の泉
営業担当兼東京支社長
2023年5月8日
2015年から4年間、島津ブラジルの社長としてブラジル駐在を経験しました。ちょうどリオのオリンピックと重なり、日本のテレビ番組でもブラジルを取り上げることが多くなっていたのですが、その中で、2016年4月から4話放送された「大アマゾン 最後の秘境」というNHKスペシャルがあり、その第1話に映し出された「奇跡の泉」が鮮烈でした。
皆さんは、どんな熱帯魚を知っておられますか?ネオンテトラ、エンゼルフィッシュ、ピラニアあたりはご存知だと思います。実は、これらの有名な熱帯魚はみんなアマゾン川の魚です。でも、普通にアマゾン川に潜っても、これらの魚を目にすることはできません。視界ゼロ、濁っているからです。
ところがその中で、ひと際透き通った支流があり、そこでは熱帯魚たちが泳ぐ姿をこの目で見ることができる――。子供の頃から熱帯魚を飼うのが好きだった小生にとって、それは衝撃的な話であり、深く胸に刻み込まれました。
放送から半年後、ある方の紹介でブラジル在住30年の日本人、湯川宜孝氏に出会いました。彼にその奇跡の泉の話をしたところ、なんと「僕、その撮影チームの一員でしたよ。ご案内しましょうか?」と信じられない言葉が!思わず「必ず行くので、連れて行ってください!」と約束したのでした…。
そしてその3年後、本当にそれは実現しました。奇跡の泉はサンパウロの北北西2500kmほどのところにあります。飛行機を2便乗り継ぎ、そこから車で4時間走ると、「Pousada Sao Benedito」という宿に着きます。そこからさらにボートで10kmほど川を下ったところにその泉はありました。
透明度30mはあろうかというほど透き通った水、美しい水草、熱帯魚たち――。まるでネイチャーアクアリウムの水槽のようです。妻と二人で、時を忘れて魚たちと泳ぎました。それは今まで見た中で最も美しい水景でした。
日本から行くなら、まずサンパウロまで飛行機で30時間、そこからさらに10時間、片道合計40時間です。いかがですか?行ってみたい方がおられたら、湯川さんをご紹介いたします。
株式会社島津製作所常務執行役員営業担当兼東京支社長。京都市出身の59歳。同志社大学法学部卒業後、1986年に株式会社島津製作所に入社。分析計測機器の国内営業を務めた後、2008年に営業統括部長、2015年に島津ブラジル社長、2019年に営業戦略室長、2020年に執行役員分析計測事業部副事業部長を歴任。2023年4月より現職。
第1回
トンボで守る食の安全
第2回
水塊が生まれた記憶
第3回
汽水、匂い立つ水辺で
第4回
水の重要性
第5回
日常の水・非日常の水
第6回
水の惑星?
第7回
生命の「動的平衡」と水
第8回
水の都?東京のひみつ
第9回
土佐和紙と仁淀川
第10回
人が育む阿蘇の地下水
第11回
経験したことのない大雨と事前防災
第12回
水と医療設備の切っても切れない関係
第13回
カンボジアが水の危機に直面していると考えたことはありますか?
第14回
水利秩序の変化と昔話
第15回
奇跡の泉
第16回
完全雨水生活で気づく日常生活の問題点
第17回
水と演劇
第18回
コーヒーと水の関係
第19回
山の上の植物園
~牧野博士が遺した悩みのタネ~
第20回
山の人
第21回
「水」環境のまち
第22回
気象レーダーと雨粒の形
第23回
水は数十億年の地球の恵み
第24回
知的好奇心を探求する海
第25回
水で育つ野菜