第11回

経験したことのない大雨と
事前防災

足立 敏之
自由民主党参議院議員
宮城県大崎市丸山橋(令和4年7月21日)
宮城県大崎市丸山橋(令和4年7月21日)
山形県飯豊町大巻橋(令和4年8月12日)
山形県飯豊町大巻橋(令和4年8月12日)
北海道新桂沢ダム(平成29年11月19日)
北海道新桂沢ダム(平成29年11月19日)
鹿児島県鶴田ダム(平成31年1月27日)
鹿児島県鶴田ダム(平成31年1月27日)
北海道サンルダム(平成30年8月23日)
北海道サンルダム(平成30年8月23日)

2022年10月11日

今年も、7月はじめから線状降水帯が繰り返し発生し、北陸や東北をはじめ広範囲にわたり深刻な水害・土砂災害が発生しました。最近の激烈な雨の降り方や従来と異なる台風の動き、季節はずれの大雨など、これまでに経験したことのない水害・土砂災害が頻発している状況を見ると、地球温暖化に伴って水循環が活発化し、雨の降るときには猛烈に降り、一旦降らなくなると全く降らなくなるなど、気象が極端化して猛威を振るう状況が起き始めているのではないかと強く感じます。
このような状況に対しては、地球温暖化対策としての温室効果ガスの削減などの「緩和策」を進めていくことが重要ですが、一方で、具体的に進行し、激甚化する水害・土砂災害などに「適応策」として、事前にしっかり備える事前防災を進めていくことが大事だと考えます。
地球温暖化対策は待ったなしです。特に、安全で安心なくらしを守る事前防災対策は不可欠な取組みであり、河川整備やダム建設・ダム再開発などのハード整備とともに、土地利用規制や住宅の建て方の工夫、ハザードマップを踏まえた「タイムライン」に基づく避難・減災行動の普及など、「流域治水」の取組みを進めることが必要です。
ダムは一時期、無駄な公共事業の象徴のように揶揄されましたが、近年は記録的な豪雨に対しても大きな効果を発揮する防災インフラとして認識されるようになりました。私自身、秋田の玉川ダム、神奈川の宮ケ瀬ダムという2つのダム建設に携わった「ダム屋」ですので、改めて、流域内に少しでも洪水を貯留する機能を高めるダム建設やダム再開発の取組みが、今後の気候変動に対する効果の高い「適応策」であり、流域治水を進めるに当たっての事前防災対策として不可欠であることを、皆さまお一人お一人に知っていただきたいと思います。

足立 敏之 あだち・としゆき

足立 敏之

あだち・としゆき

自由民主党参議院議員。兵庫県西宮市生まれ。昭和52年3月京都大学工学部交通土木工学科卒業、昭和54年3月京都大学大学院修士課程終了。同年4月建設省(現国土交通省)入省、兵庫県庁に出向。その後、内閣官房参事官(安全保障・危機管理担当)、四国地方整備局長、中部地方整備局長、水管理・国土保全局長、技監などの要職を歴任。平成26年7月に国土交通省を退職、翌28年7月に第24回参議院議員通常選挙に当選。趣味は旅、山歩き、写真、テニス。愛読書は、司馬遼太郎の「坂の上の雲」「街道をゆく」など。

足立 敏之 オフィシャルサイト

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