植物プランクトンカウンタが明らかにする処理池の状態
凝集沈澱や薬品注入等の最適化に貢献
販売推進課
座間味 俊胤氏
■植物プランクトン数の変動を連続監視
当社は、日本で初めてパーティクルカウンタ(微粒子計測器)を開発し、販売を開始した会社です。液中パーティクルカウンタの技術を応用し、特定波長のレーザを照射した際に得られる散乱光を検出して微粒子を検知し、さらに植物プランクトン内の自家蛍光物質(クロロフィルa、葉緑素の1種)が発する特有の波長の蛍光を検出してその微粒子が植物プランクトンであるかどうかを判定します。
蛍光顕微鏡で人の眼にて蛍光数をカウントする検出法も従来からありますが、毎回の計数の際に、取り出したプランクトンを目視にて数える手間と時間はかなりのものです。また、塩素処理後には蛍光が微弱になるため、目視による測定が困難になる場合もあります。
当社の植物プランクトンカウンタであれば、そのような微弱な蛍光でも正確に検知でき、かつ24時間の自動連続監視が可能であることから、その測定データから植物プランクトンの測定数の日周変動の把握や、ろ過池等の処理池の運転管理に活用することもできます。
■超高塩基度PACの導入評価として
近年では全国水道研究発表会において、植物プランクトンカウンタを導入された水道事業体の方から多くの発表をいただいており、2022年度の名古屋水道展では6件、2023年度の東京水道展では3件の発表があり、多くのお問い合わせをいただくようになりました。
例として、超高塩基度PACの導入に伴う沈殿池の最適な攪拌強度を、植物プランクトンカウンタによる生物、非生物の微粒子の除去性能から評価し、凝集剤注入率の削減につなげた事例等が紹介されました。
最近では、お客さまから浄水場の更新に合わせて、植物プランクトンの除去を適正化するためのシミュレーションに使えないかといったご提案をいただいており、植物プランクトンカウンタの使い方の広がりを実感しているところです。
■リオンの技術で人と微生物をつなげたい
植物プランクトンカウンタは、導入されたお客さまのご意見を取り入れて、常に改良に努めています。
従来は、接液部を定期的に手作業で洗浄する必要がありましたが、自動の逆流洗浄・薬品洗浄機能を追加したことにより、ほぼノーメンテナンスでの連続運転が可能になりました。
1台で処理池の入口と出口を測定することで、植物プランクトンの処理能力を評価できる「マニホールド」機能の実用化も進めています。
また新たな取組みとして「動物プランクトン」のインライン計測装置の開発を進めています。試料水を自動濃縮し、昨年度に開発した動物プランクトン計測装置に導入して計測します。高度浄水処理の粒状活性炭吸着池に繁殖する動物プランクトン数の自動連続監視を目的として現場評価を行っています。
弊社は半導体分野などで長年培ってきた微粒子計測技術を活用し、微生物をより迅速、簡便に計測する技術の開発と普及を目指しています。これからも「リオンの技術で人と微生物をつなげる」をスローガンに挑戦を続けていきます。
■使う・残す判断を適切に
人口減少を考えれば、全ての管路の問題に更新で対応していくのは事実上不可能です。現状を把握した上で、必要なところは更新する、使えるものはできるだけ残すという冷静な判断が大切です。
そのためにも、もう少し修繕維持費に予算を回していただければと思うところです。調査や延命化による建設改良費の抑制、効率的な投資が、厳しいループを抜け出すために必要だと考えています。
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