新たなロールモデル構築の提案
管路DB(設計・施工一括発注方式)
PPP統括本部PPP推進部 部長
畑中 哲夫氏
■培った知見から業務幅を拡大
老朽化した水道施設が年々増加している中、わが国の国土を守るためにも定期的な状態監視保全や予防保全の実施が、特に管路には求められています。その一方で、水道事業体の職員や施工業者の有資格者・配管工の人材不足、技術継承が課題となっており、管路更新需要はあるものの発注・受注されず、事業執行できていないとのお話を聞きます。
現在、国主導で導入が促進されているウォーターPPPでは、管路を含む維持管理業務を中心とした展開で民間企業の参入が予想されるところです。しかし民間企業も同様に人材が不足しており、当然のようにキャパシティもあるため、全ての業務量への対応は困難と考えられます。
将来にわたり水道サービスの水準を維持するためにも、ダクタイル鋳鉄管の管材メーカーとして培ってきた管路DB(設計・施工一括発注方式)に加えて、M(メンテナンス)、CM業務(コンストラクションマネジャー)といった直接的に状態監視を行う維持管理業務、また、それらのデータを活用した更新計画立案や業務発注支援等まで業務範囲を広げることで、管路更新のスピードアップによる課題解決を考えています。
■管路DBで人材育成
当社は今年2月に栗本・丸勘建設・日本水工設計特定共同企業体として、津軽広域水道企業団が管路DB方式で発注した「導水管路耐震化(二重化)事業」で基本協定を締結しました。今回の事業は、多発する地震や自然災害に備えた管路の耐震化とバックアップ機能強化を実現するための施策となっています。
継続的に管路DBを成功させるには、将来的に地元企業の技術者が育つとともに地元にお金が落ちて回るような仕組みづくりが必要だと思っています。更新需要の増大で全国の水道事業体等から多くのお声掛けをいただいていますが、特に問題となっているのは官民ともに技術系人材が入ってこない現状です。当社では、確実な管路の耐震化・老朽管更新の実施を図るために、鋳鉄管の調査・設計から施工・施工管理までに至る技術を習得して、業務全体をマネジメントできる水道事業体職員と地元工事企業等の人材育成支援に努めています。各地域で技術を根付かせる種まきを管路DB事業の一環として取り組んでいる事例をご提案させていただきます。
■地域の将来も見据え展開
当該事業では、事業者選定に当たり、施工計画の実現性、維持管理性向上、地域貢献を評価いただきました。施工環境の地域的特徴を踏まえた施工計画・工程管理や将来の送水管更新も意識した事業計画立案に資するデータ収集も行いますが、特に重視しているのが7年に及ぶ工期を有効に使った人材確保・育成の提案を厚くしている点です。人材の県外流出が課題となっている中、地元の土木系学生が水道事業に興味を持ってもらい、本事業に関連する事業体や企業に就職できるよう、管路DBを活用したロールモデル構築を産官学と連携して行い、その地域における人材確保の仕組みづくりから育成に至る自己完結を想定して将来を見据えた事業運営に取り組んでいます。
一方、代表企業である弊社からは現場を熟知している統括責任者を常駐させ、課題を把握した上で現場の実態に即した提案をするなど全事業期間を通じたマネジメントを実施し、事業に携わる意義も大切にするように努めています。製品の提案と合わせて安心も感じていただける提案を積極的にしていきたいと考えています。
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