
微粒子技術で支える次世代の水質管理
植物プランクトンを連続監視・自動計測
フィールド業務課
座間味 俊胤氏
■植物プランクトン数の変動を連続監視
当社は、日本で初めてパーティクルカウンタ(微粒子計測器)を開発・販売した企業です。当社の植物プランクトンカウンタは、液体用パーティクルカウンタの技術を応用し、特定波長のレーザを試料に照射し、その散乱光を検出して微粒子を計測する仕組みに加え、植物プランクトン内に含まれる自家蛍光物質(葉緑素の一種・クロロフィルa)から発せられる蛍光を検出することで、対象粒子が植物プランクトンであるかどうかを判別します。
従来は、蛍光顕微鏡によって人の目で一つひとつ計数する手法が主流でしたが、この方法では時間と労力がかかる上、塩素処理後に蛍光が減衰すると視認が困難になる課題がありました。当社の植物プランクトンカウンタは、微弱な蛍光でも高感度に検出できるため、これらの課題を解決します。さらに、24時間の自動連続監視が可能で、測定データを活用して日周変動の把握や処理池の運転管理に役立てることができます。
また、近年の改良により、従来は必要だった接液部の手動洗浄を自動化。逆流洗浄・薬品洗浄機能を搭載することで、ほぼメンテナンスフリーの連続運転が可能となりました。
■原水中の生物障害原因藻類をインラインで自動分別・計数
浄水処理工程において、生物障害の原因となる植物プランクトンの監視は、水質担当者による顕微鏡観察と計数が一般的です。しかしこの作業は専門性が高く、時間も労力もかかるため、技術継承や人材育成の面で課題が顕在化しています。
当社には「この作業を計測機器で代替できないか」というご相談が増えており、現在、複数の浄水場にて植物プランクトンカウンタを原水にインライン接続し、自動で障害藻類の分別・計数を行う実証的な取り組みを進めています。これまでの検証により、一定の分別精度が確認されており、今後はさらに精度を高め、水質担当者の業務負担軽減にとどまらず、各種薬剤の注入判断にも貢献できるよう開発を継続しています。
■現場で長く安心して使える装置を目指して
植物プランクトンカウンタは、これまでに全国で30件以上の納入実績があり、その半数以上のお客様から定期点検・校正をご依頼いただいております。昨年度には、導入から10年が経過した浄水場様より更新として新規導入もいただきました。
今後も、水質管理の現場で長く安心してお使いいただけるよう、メンテナンス体制の充実と品質向上に継続的に取り組んでまいります。
■微粒子技術で人と微生物をつなぐ
当社は、医薬品・半導体分野で長年にわたり培ってきた微粒子計測技術を応用し、水環境における微生物の迅速・簡便な検出を目指しています。「リオンの技術で人と微生物をつなげる」をスローガンに、これからも水質管理の課題解決に挑戦し続けてまいります。
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