
配水池内の設置で省スペース化
水中型緊急遮水システム「NCSシリーズ」
浅見 広人氏
■中・小規模の水道施設を中心に
当社は、簡易水道をはじめとする中・小規模の水道施設において企画・立案から施工、維持管理に至るすべてのプロセスに関わっており、特に電気・機械設備の設計・施工から維持管理までを手掛けています。中・小規模の事業体においては、職員数の減少や高齢化といった課題が顕在化しており、さらに小規模な飲料水供給施設では、地元住民による水道組合が運営しているケースも少なくありません。そのような現場では、水道に関する専門知識を持ち合わせている職員がいないことも多く、誰でも扱いやすく、よりシンプルな製品が求められます。
当社では、こうした水道事業の現場に幅広く携わる中で、各事業体の抱える課題やニーズに耳を傾けながら、それら一つひとつに的確に応えられるような製品開発に取り組んでいます。
■新たな用地取得が不要
水中型緊急遮水システム「NCSシリーズ」は、一般的な管路型の緊急遮断弁とは異なり、配水池の内部に直接設置できる点が大きな特長です。管路型の緊急遮断弁を設置するには、配水池の外部にピットを設け、さらにバイパス管の整備が必要となるため新たな用地の確保が避けられません。一方、NCSシリーズは、配水池内部に設置できるため追加の用地取得が不要です。中・小規模の水道事業体から、山中などの狭隘なスペースの配水池にも緊急遮断弁を設置したいとの要望を受けたことから本製品の開発に至りました。
本製品は、地震・過大流量・低水位の三つの条件の組み合わせによる計8パターンの動作制御が可能です。感震装置や配水池内の水位計、流量計から信号を受け取ることで自動的に遮水を実行します。当社は電気設備をメインで取り扱っていることもあり、入力信号によって自由度を高く制御設定できることも強みの一つです。
また、管径50〜600mmまで対応可能であるほか、電気二重層キャパシタを採用したことにより、バックアップ電源との併用で停電時においても確実に操作することができる設計となっています。
■イニシャルコストの低減
本製品は、従来の緊急遮断弁と異なり、ピットやバイパス管の整備を必要としないため付帯工事にかかる費用を大幅に削減できます。また、配水池が2池ある場合には、給水を止めることなく不断水で設置可能であり、全体の導入期間も1週間程度と短期間で済むのが大きな特長です。さらに、本体はステンレス製で錆びにくく高い強度を備えていることからメンテナンス面でも手がかかりません。イニシャルコストを抑えつつ、維持管理の負担を軽減する製品として長くお使いいただけるものと自負しています。
NCSシリーズをはじめ、当社の製品はいずれも事業体から寄せられた困りごとが製品開発の出発点になっています。今後もそういったニーズを丁寧に拾い上げていきながら、多くの課題を抱える中・小規模の事業体の持続に少しでも貢献できればと思います。そのためにも、単なる製品の提供にとどまらず、現場に寄り添ったプラスの価値を提供し続けていくことが当社の使命だと考えています。
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