水道業界EXPO ’25

株式会社グッドマン

キーワード
  • 漏水
  • 相関
  • 監視
  • 探索

IoT機器を活用した漏水調査の効率化
ゾーンスキャンシリーズ/HTシリーズ/ハンターTG

代表取締役
渡邊 研一氏

■厳しさを増す事業環境

 今年1月に発生した埼玉県八潮市での大規模な道路陥没事故を契機に、上下水道インフラの適切な維持管理に社会的な関心が高まっています。その一方で水道を取り巻く事業環境は厳しさを増しており、特に人口減少に伴う担い手不足はますます深刻になると考えます。水道管の漏水調査の現場は多くのベテラン職員によって支えられていますが、こうした方々も今後一斉に退職されます。限られた予算、人員の下で適切な維持管理を進めるためには、漏水調査においてもIoT機器を活用したさらなる効率化が求められていると考えます。

■常時自動監視型の漏水探索機

 当社では、「ゾーンスキャンシリーズ」を活用した漏水調査の効率化を提案しています。すでに国内の大規模水道事業者や、漏水調査を手掛ける企業にも広く採用いただいているところです。
 漏水音を検出するロガーと呼ばれる小型の通信機能付きの音響機器を設置するだけで、自動的に区域内の漏水箇所を確実に検出するもので、熟練の技術に頼ることなく軌道下・国道横断など点検が困難で漏水による社会的な影響リスクが高い地区や、給水区域の広い範囲を常時監視することが可能です。次に製品の特長を紹介します。
①ロガー間で相関検査
 ロガー本体の大きさは約11cmと小型で底面には磁石が配置されています。これを水道管路上のバルブなどに設置することで、自動で音響データを1日で最大2400回収集します。
 特長の一つがロガー間で多点相関検査が行える点にあります。ロガーは最大で約200m間隔で設置することができ、ロガー間で通信を行い、発生音の時間差を解析することで漏水箇所を特定する仕組みです。
 ロガーは電池駆動式で、約5年間もつ設計となっています。ロガーには通信機能が備わっており、収集した音響データは携帯電話基地局を経由してクラウドへと送られます。クラウドにはパソコンやスマートフォンからアクセスが可能で、漏水の発生状況を遠隔から監視することが可能です。
②世界中の漏水データを活用
 クラウド上に送られた音響データはAIによる解析を経て、0~100の数値で漏水危険度を評価します。クラウドでは汎用地図アプリケーション上でロガーの位置を確認できるほか、管網図も自由に作図可能です。また地図上のロガーの色は、漏水危険度の高い順に赤、黄、緑で表示されるため、いち早く対応が必要な箇所を確認することができ、また漏水発生時にはメールで警報を発報することも可能です。
 ロガーの製造元であるドイツ・ギュータマン社は、世界42カ国で「ゾーンスキャンシリーズ」を展開しており、同社のクラウドには世界中の漏水音がビッグデータとして蓄積されています。AIによる解析ではこのビッグデータが用いられるため、正確に漏水危険度を判定することが可能となっています。従って、従来の監視型ロガーの検出率が80%であるのに対し、AI活用の新型ロガーは実に95%の高効率で漏水箇所を自動的にピンポイント検出してくれる優れものとなっています。
③万全のアフターサービス
 ロガーはドイツ製ですが、バッテリー交換など簡単な修理については当社の工房で受け付けています。どれほど優秀な機械であっても、メンテナンスに長期間を要してしまえば、いざという時の使い勝手が非常に悪いものになります。バッテリー交換の場合、宅配サービスなどで当社にお送りいただければ、数日から1週間程度でしかも低価格で作業が完了いたします。こうした万全のアフターサービスを整えていますので、安心して漏水調査に活用いただければと思います。

■水素ガスを利用した漏水探索

 学校や公園、工場などいわゆる宅内の漏水探索にご活用をいただけるのが、水素ガス造成器の「HTシリーズ」と、ドイツ製の水素ガス検知装置の「ハンターTG」です。配管内に水素濃度が4%未満と爆発濃度限界より低く安全なガスを充満させ、床や壁などをすり抜けたガスを検出することで漏水箇所をピンポイントに把握することが可能となります。能登半島地震の被災地においても、宅内配管の漏水調査に当該機器が活用された実績もあります。両製品の特長は次の通りです。
①水素ガス造成器「HTシリーズ」
 従来、ガスによる漏水検知にはヘリウムガスが用いられてきましたが、高圧ボンベの価格が高い、かさばるため持ち運びに手間がかかる、すぐに調達ができないなどの課題がありました。
「HTシリーズ」では、水素ガスを活用することでこれらの問題を解決しています。水素ガスの精製には、ドラッグストアなどで購入可能な精製水を用います。電源ボタンを押すだけで精製水1ℓ当たり7時間分のガスを発生させることが可能です。1分当たりのガスの発生量に合わせて複数の機器バリエーションを用意しており、最もコンパクトなHT-36であれば、大人一人で持ち運ぶことも可能です。調査範囲にもよりますが、およそ60分程度で漏水箇所を把握することが可能で、調査にかかるコストもヘリウムガスを用いた場合と比較して200分の1に抑えることができます。
②水素ガス検知装置「ハンターTG」
 路面から漏れる水素ガスを確実に捉えるのが検知装置「ハンターTG」です。本体は1kg程度のため持ち運びが容易で、本体と接続された検出口を掃除機のように路面に押し当て、水素ガスを検知するとアラートで知らせる仕組みとなっています。非常に高精度で水素ガスを検知できるため、微小な漏水であっても確実に箇所を特定できます。
 検出口の先端は、路面調査に適した吸盤タイプのほか、地中内部に差し込めるタイプなどさまざまなバリエーションを用意しており、現場状況に合わせて交換が可能です。

■不退転の決意で臨む

 当社はゴルフ場の散水システム製品の輸入を皮切りに、これまで40余年にわたりインフラ分野において世界の優れた探索機を国内へと供給してきました。特にここ数年、当社が取り扱う漏水調査機器に多数の問い合わせをいただいており、漏水調査の効率化に多くのニーズがあると確信しています。
 当社は、インフラに携わる専門商社であり、漏水調査については不退転の決意で臨んでいます。折しも政府全体でAIをはじめとしたDX推進が掲げられています。当社としてもこの時流にしっかりと対応し、「ヒューマンウェア」「ハードウェア」「ソフトウェア」のベストミックスによる漏水調査の効率化に貢献していきたいと考えています。

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