
ニッチな市場にも製品を供給
軟弱地盤に対応「台座付ソフトシリーズ」
安田 信広氏
■小さなニーズを製品に
当社は、水道用のバルブ関連製品メーカーとして、さまざまなタイプのバルブ製品を市場に供給してまいりました。この4月からはこれまでの清水合金製作所から、キッツエスジーエスへと社名を変更し、新たなスタートを切っています。
当社の強みは市場に眠る小さなニーズを掘り起こし、製品化まで結びつけるところにあり、こうした発想の下で生まれたのが今回ご紹介する「台座付ソフトシリーズ」です。
■バルブと台座を一体化
「台座付ソフトシリーズ」は、従来品のソフトシール仕切弁に金属製の台座を締付金具で固定させたもので、主に軟弱地盤での施工を想定して開発いたしました。
ソフトシール仕切弁は、小さいものでも30kg程度の重量があり、軟弱地盤に施工すると、時間経過とともにバルブが傾いたり、沈んだりするなどその位置が安定しないという課題がありました。「台座付ソフトシリーズ」では、バルブの底部に台座を配置しており、常に水平を保つことができます。また台座は薄肉軽量で強度がある材料を使用しているため、現場での取り回しもしやすく、安定した配管作業に役立つ製品と考えています。当社工場でソフトシール仕切弁と台座の一体化までを行った後、出荷しますので現場では納品した製品をそのままご使用いただけます。
開発のきっかけとなったのは、東北地方のある水道事業体の工事現場での光景でした。この現場では、施工箇所にコンクリートの底板を敷き、その上にバルブを置いて配管作業を行っていました。なぜこのような施工をされるのかと聞いたところ、前述のような課題があることが分かったのです。さらにコンクリートの底板では、沈み込みは防げてもバルブと一体化していないことで「ぐらつく」といった安定性に欠けることも分かりました。
こうした水道事業体のお困りごとを解決する製品を開発できれば面白いのではないかと考え、出来上がったのが「台座付ソフトシリーズ」です。
現在は水道配水用ポリエチレン管(HPPE管)に対応した「ポリパイソフト 台座付」(対応口径:50~200㎜)と、同じくHPPE管に対応し差込口がメカニカルタイプの「PE-NOVOソフト 台座付」(同)の2製品を販売しています。また今後は、塩ビ管などに対応した「VS-NOVOソフトⅡ 台座付」(対応口径:50~150㎜)、VP管とHPPE管を接続可能な「チェンジソフト 台座付」(同)の2製品の販売も予定しています。
■使命変わらず製品供給
「台座付ソフトシリーズ」は、軟弱地盤での施工という限られた市場に対応するニッチな製品のため、需要はそれほど多くないかもしれません。
しかしながら、ソフトシール仕切弁は清水合金製作所時代から、われわれがトップランナーだという自負があります。例え小さな市場だとしても、施工性が今よりも少しでも良くなるのであればエンドユーザーの方々が使いやすい製品を開発・改良し、世に出していくことはわれわれの使命だと考えます。
社名は変わりましたが、エンドユーザーの声を聴き、柔軟に製品化を行っていくことは変わらずに、続けていきたいと考えています。
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