
管路更新・耐震化率向上に地域からアプローチ
管路DB(設計・施工一括発注方式)
技術統括本部 PPP推進部
西部営業・技術グループ長
和多 昌秀氏
■管路更新・耐震化が業界の課題に
令和6年能登半島地震、1月の八潮市道路陥没事故、京都市や大阪市での漏水事故など、老朽化したインフラ管路に起因する事故が各地で相次いでおり、老朽化した管路の更新・耐震化は喫緊の課題となっています。あわせて、水道行政の国土交通省への移管に伴い、上下水道一体の耐震化計画の策定が運営事業体に義務付けられ、補助メニューが見直し・拡充されるなど、管路の更新率や耐震化率をいかに向上させるかが水道界全体の課題となっています。
栗本グループではこの課題の解決に向けて、管路DBを提案しています。管路更新のスピードアップを阻む水道事業体職員や地元施工業者の担い手不足といった問題の解決に向け、「地域貢献」を打ち出している点が大きな特徴です。
■人材育成・地域貢献からアプローチ
管路DBは令和元年の初受注以降、7年度現在までで全国で14件を受注(うち9件は完工)しており、着実に実績を積み重ねています。3万人以下の中小規模事業体において、3期目となる継続案件を受注した実績もあります。
継続的に管路DBを成功させるために重視しているのが、事業体職員の負荷軽減や地元施工業者の技術力向上や育成です。管路の更新・耐震化率の向上、ひいては鉄管メーカーである当社の本来の使命である鉄管の安定的供給を果たすためには、現場で実際に施工に携わる地元業者の皆さまがいなければ成り立たないのです。私もさまざまな事業体でお声を聞きますが、事業体だけでなく施工業者も含めた担い手不足が深刻な時代になっていると実感しています。
そこで管路DBでは、現在の担い手不足や将来の担い手確保も含めた地域貢献を技術提案として盛り込んでいます。具体的には、地元施工業者を対象とした継手講習会を開催し、GX形ダクタイル鉄管等の接合体験等を通じて、技術力の向上を図っています。
また、業務負荷軽減策として、ICT技術の活用にも取り組んでいます。受発注者の双方が立ち会う施工管理において、現場に設置した定点カメラや現場作業者のヘルメットに取り付けた小型カメラを用いて、現場から静止画・映像をリアルタイムで送信することによって、発注者である事業体職員の方が現場に赴く必要がなくなり、業務負担を大きく軽減することが期待できます。
■将来の担い手確保の取組みも
さらに、現在栗本グループが受注している案件の中には、布設前の水道管に地元の小学生や保育園児にお絵描きをしてもらうイベントを開催したことがあるほか、高専や大学等の学生を対象としたワークショップの開催を検討しているものもあります。地元で土木等の専門分野を学んだ人材が、就職等を機に県外に流出する例は少なくないと聞きます。地元で安定した建設業の雇用があれば、あるいはICT技術の導入等のDXによって働く場所を選ばなくなれば、地元に残るという選択をする学生が増えるかもしれません。
管路DBを通じた地域貢献によって業界の課題にアプローチするとともに、ウォーターPPPなど官民連携の領域における当社の鉄管メーカーとしての特色にしていきたいと考えています。
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