水道業界EXPO ’23

株式会社 多久製作所

キーワード
  • 耐震継手・耐震性鋼管継手
  • 耐震化
  • 老朽管更新
  • 溶接レス継手
  • 水管橋・添架管

橋梁添架管更新のイノベーション

橋梁添架管向け溶接レス耐震性鋼管継手「TASCAL JOINT-ER型」

■「溶接レス」開発の背景

 和歌山の水管橋崩落事故以降、全国の水道事業体において水管橋および橋梁添架管の管理、老朽化対策への関心が高まっています。道路橋梁の老朽化についても社会問題として顕在化していますが、橋梁および橋梁の付属施設の更新時の課題となっているのは対策手法です。難施工現場が多い中で、短期かつ社会的影響の最小化を図る施工が可能で、将来的なメンテナンスLCCに配慮した技術として、当社の橋梁添架管向け溶接レス耐震性鋼管継手「TASCAL JOINT(タスカルジョイント)−ER型」の採用実績が着実に伸びています。
 本製品の開発に至った背景の一つには、多くの橋梁添架管の更新施工における鋼管施工の選択肢が溶接工法のみと限定となっており採用しづらい傾向に有りました。溶接施工の場合、溶接技術者の不足に加え、各インフラ工事の分野で競合し、水道分野以外では溶接部の質の低下につながった事例もあります。また、既設橋梁添架管の更新などは難施工箇所が多く、溶接工を要する場合には工期の長期化が避けられません。
 タスカルジョイントは元々、建築設備での給水配管、連結送水管で多数採用されてきた継手技術でしたが、これをベースに主に橋梁添架管向けに耐震性能を強化し、開発したのが「ER型」となります。
 ER型の最大の特徴は、管接合にメカニカル形式を採用し、熟練技能を必要とせず迅速に施工できることです。工期を縮減し、道路管理者との調整や交通整理員の確保などの手間を大きく削減することができます。
 継手の接続作業は、継手部の目視→挿し受口への滑剤塗布→挿し口挿入→ロックバンド挿入、の手順で行います。初採用の事業体では施工研修を実施しますが、地場の施工会社、施工経験が少ない技術者でも容易に施工でき、気象、気温などに左右されない施工品質を確保できることが特長です。
 さらに、溶接継手と同等以上の継手強度を有していることを神戸大学との3年間にわたる共同研究により確認しています。コンセプトとして、施工後に管路を一体構造体とすることを目指しています。橋梁添架管では、振動への耐性や応力が両端に集中することへの対応が求められますが、これらについても試験を通じて強度を確認しています。

■メンテンナンスの課題を克服

 水道事業体にうかがうと、橋梁添架管の一番の悩みは施工後の将来にわたる長期的な維持管理面です。詳細な目視点検は困難であり、管路が桁下に設置されている場合には、点検すらも難しい場合があります。
 ER型は、メンテナンスフリーを志向した製品です。管体はステンレス製(SUS304/SUS316)でメンテナンスの軽減・長寿命化が図れ、継手のパッキンにも耐塩素エチレンプロピレンゴム(EPDM)を採用し、耐久性にも優れています。挿し受口およびロックバンドはすべてステンレス鋼製、パッキンはセルフシール機構を採用しており、高圧(2.0MPa)にも対応しています。
 確かな耐久性を有し、塗り替えの必要もなく、メンテナンスの負担を大きく低減できます。
 近年の物価高騰でステンレスの値段は上昇傾向にあり、イニシャルコストこそ上がっていますが、施工後の長期的なメンテナンスを考慮した際のライフサイクルコストの低減には自信を持っています。

■着実に重ねる施工実績

 ER型は、令和3年12月に米子市水道局の三柳堀川橋の添架管更新工事において全国で初めてモデル採用いただき、狭小な桁下空間でも支障なく施工が可能であることを現場で実証することができました。
 令和4年度は8事業体9件で採用いただきました。
 4年度の実績のうち、三原市から受注した本市橋(橋長=114m)の橋梁添架管(150A)配水管布設替工事は、ER型の特長が生かされた事例の一つとなりました。
 本市橋は国道2号に隣接する地域の重要交通路に当たり、通行止めが困難であったことから、短期施工が必須の現場でした。溶接鋼管を採用する場合の工期は約2週間と見込まれたことから、短期施工が可能となる本技術を採用いただきました。施工は、降雨中での作業でありながら添架管の布設工事自体は1日で完了し、施工性の良さが改めて確認された現場となりました(写真参照)。
 施工状況については映像でも記録し、YouTubeで配信していますので、ぜひご覧いただければと思います(QRコード参照)。
 令和5年度も橋梁添架管の布設・更新で17件の採用を予定しており、水道関係者の方への認知も広がってきたと感じています。
 ER型は中小規模の管路施設における橋梁添架管を対象にしています。これまで50〜150Aとしていましたが、新たに200Aをラインナップしました。当初はシングル管の多い西日本を中心とする展開を考えていましたが、寒冷地からの引き合いもいただき、主に東日本で採用の多い二重管構造の内管部の接続継手に現地溶接レス継手として福島県内の事業体で採用いただいています。

■Aqua-Bridgeにも参画

 溶接レス耐震性鋼管継手は、国土交通省の新技術情報提供システム「NETIS」登録番号KK-230023-Aで登録、水道技術研究センター(JWRC)の「水道における新技術事例集(Aqua-LIST)」に7月より登録予定です。JWRCの取組みでは、主に水管橋を対象とした施設点検等に関する新技術等の情報収集・整理・実証実験などを行う「水道施設の新たな点検手法等に関する研究(Aqua-Bridge プロジェクト)にも参加しています。施工実績を重ねていく中で、供用後のフォローアップを通じた技術の検証、向上に努めながら、客観的な技術評価、情報発信に努めていきたいと考えています。
 当社の製品の基本はオーダーメイドです。「売り手・買い手・世間・作り手・環境・未来」の六方よしの実現とともに、日頃から、配管施工におけるお困りごとに最適なご提案ができるよう努めています。
 「困りごとに対して何をすべきなのか」を念頭に置き、レジリエントなインフラ環境構築、より良い製品開発や技術提案を継続し、SDGsの実現にも貢献していきたいと考えています。

ギャラリー(画像はクリックで拡大表示されます)

出展企業一覧

企業名をクリックして詳細情報をご確認ください。

連載 水を伝える
連載 水を伝える
ページの先頭に戻る