水道業界EXPO ’23

川﨑機工株式会社

キーワード
  • K形押輪
  • 補強金具
  • 給水車
  • 可搬式給水タンク
  • 組立式給水タンク

水道屋が作る水道屋のための給水車

進化するラインナップとメンテナンスサポート

■「買い手市場」の創造

 川﨑機工と言えば、水道事業体の方は押輪・継手のメーカーとのイメージをお持ちの方が多いかと思います。  全国の水道事業体に営業網を有する中で、水道実務の現場に対応した給水車のニーズの高まりに対応するため、9年前から給水車(車輌一体型給水タンク)の分野に本格参入しました。従来の給水車の市場は、決まった仕様の物を売る「売り手市場」でしたが、水道メーカーの視点で「買い手市場」へと変えていくことを目指しています。
 一般的には、「給水車」と一言で括られますが、自動車検査証取得時の用途区分において「給水車」と位置づけられるか否かでも違いがあります。車検上の定義として「国、地方自治体において、災害時等に飲料水を専用に輸送するために使用する自動車」が「給水車」であり、災害時等の緊急車両として活動の可否などの違いがあります。一方、緊急時には狭義の給水車だけで対応するわけではなく、給水タンクを積んだ車両や、応急給水資機材を組み合わせた対応が求められます。給水車の専門ノウハウに加え、水道資機材メーカーである特性を生かし、多様な製品のノウハウともに給水車に関する最適なソリューションを提案します。

■高まる性能への関心

 近年は、自治体の規模を問わず、自然災害による水道施設の被害が全国各地で相次いでいます。また、和歌山市の水管橋崩落事故に象徴される施設の老朽化に起因する大規模な断水事故への懸念も高まっています。
 こうした事象が発生した地域では、危機管理への意識が高まるとともに、周辺事業体による応急給水支援が展開されることで、給水車を保有することへの意識が高まるだけでなく、使いやすい給水車へのニーズも高まります。首長さんや防災部局の意識の高まりによって、当社が問い合わせを受けるケースも増えています。
 自治体にとっては、地域内の給水車の保有状況、さらには給水車の性能を把握することが、危機管理の基礎情報になりつつあります。県単位で取り組む事例も出ています。和歌山県では加圧式給水車の導入に対して補助制度を設けて、県内市町村での導入が急速に進んでいます。  複数の事業体が互換性を持たせるオーダーも受けるようになり、個別の事業体による活用とともに広域的な運用を意識した給水車性能への関心も確実に高まっています。

■ライフサイクルケアが強み

 当社では現在、年間30台程度の給水車を製作しています。半導体不足の影響もあり、一般的に車両の調達に苦慮する社会環境がありますが、当社は年間の製作台数分の車両を確保しており、それぞれオーダーメイドでお客さまのニーズに対応した給水車を安定的に提供できる体制を整えています。受注時にはお客さまと綿密な打ち合わせをして、どんな機能が必要なのかを徹底的に話し合います。
 長年の給水車製作の実績を通じて、さまざまな知見が蓄積されてきました。この知見を生かしたライフサイクルを通じたケアが当社の強みとなり、注文のリピート率も非常に高くなっています。
 給水車は、所有後の使い方が大切です。まずは運転技術が重要となります。普段から乗用車を運転している方でも、実際に充水した状態で運転すると運転の感覚は異なります。当社では、納車に当たって運転講習も行っています。
 また、日常のメンテナンスが疎かになるケースも見受けられます。消防部門があらゆる資機材を定期的にメンテナンスするように、給水車も定期的なメンテナンスが必要です。導入時こそ行われていても、担当者が変わりノウハウが継承されないケースもあるため、定期的な講習も必要です。タンクの水抜き忘れや、バルブの締め忘れが放置され、いざ動かそうとした時に故障で動かないといった事例も少なくありません。
 また、各地で起こったトラブル事例を蓄積し、基本仕様として反映することで、メンテナンスのトラブルを未然に防ぐことも重視しています。最も多いバッテリートラブルに備えた充電器搭載等の対応はその一例です。

■「バンタイプ給水車」開発

 給水車に求められる性能も変化してきました。運転の負担に配慮し、ギア操作はオートマチックが基本ですし、車線逸脱防止装置や衝突軽減ブレーキなどさまざまな安全装置が付いています。
 給水操作のオペレーションも進化しています。当社では、給水車ならではの専門操作をタブレットパネルで簡単にできる「フルオートマチック」の給水車を開発し、水道事業体から採用の引き合いもいただいています。バルブ操作、ポンプ操作、給水などの操作をパネルタッチ一つでできます。いざ動かすとなった時に誰でも対応でき、オペレーションを省人化できます。
 さらに、積雪に対応した車両構造や、水の凍結を防止する寒冷地仕様の給水車については、北海道、東北、北陸などの一部地域に限定した仕様と考えられていましたが、近年は西日本でも寒波による凍結断水事故が発生し、寒冷地への派遣を念頭に置いた給水車を配備する自治体も増えています。
 寒冷地仕様の給水車そのものも進化しています。寒冷地では、給水タンクが露出する構造そのものが凍結リスク、故障リスクを高めます。また、運転要員の確保や、悪路の通行も課題となっていました。そうした背景から、当社では四輪駆動のバンタイプ給水車(箱型給水車)を開発しました。タンク容量は1トンと小型ですが、機材をすべて車内格納し、運用の負担、効率の向上を図った車両となっています。

■水道屋ならではの視点

 当社では、給水車も「水道」の一つと捉え、質の確保を重視しています。地域特性や配管の重要性、給水後に残った水を貴重な「水道水」として捉え、捨てるのではなく使うことを基本とした考え方など細かな意識が大切だと考えています。調達方法についても水道資機材メーカーならではの水道事業体の公共調達の考え方に適合した対応が図れることも一つのメリットです。
 水道屋だから作れる給水車を提供できることに自信を持っています。今後も水道事業体の視点で、「買い手市場」の給水車を提供していきたいと考えています。

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