水道業界EXPO ’23

株式会社 栗本鐵工所

キーワード
  • 管路更新
  • 耐震化
  • DB方式
  • ICT

非開削での管路更新を容易に

ハイブリッドシステム工法

■更新を妨げる難工事区間

 高度経済成長期に布設された水道管路が全国的に耐用年数を迎える中、いまだ全国には「耐震」という概念が十分でなかった当時の管路が多く残っています。近年の地震、水害等の自然災害の多発を見ても、特に基幹管路の更新は急務です。その一方、水道以外の埋設インフラの整備が進んだことで、開削工事にて管路更新ができない難条件の現場が増えています。
 こうした区間の管路更新を前進させるため、非開削で長距離・急曲線を含む線形に対応可能な「ハイブリッドシステム工法」を提案しています。この工法は、さや管を推進・シールド工法併用工法で構築し、その中に持込工法、押込工法で本管としてダクタイル鉄管を布設します。このように二つの工法を組み合わせる、すなわちハイブリッドで施工することにより、多くのメリットを併せ持った工法となっています。

■工法併用で利点を両立

 推進・シールド併用工法(一次覆工)では、呼び径1000~2400のさや管を布設します。一般的な非開削工法として用いられる推進工法とシールド工法には、経済性や日進量、長距離、急曲線への対応などの面でそれぞれ利点があります。これらを生かすべく開発された推進・シールド併用工法は、さや管となる推進管の耐荷力の限界、もしくは急曲線の手前まで推進工法で施工した後、中間立坑の築造なしでシールド工法への切り替えが可能です。
 それぞれの工法を用いる範囲は、線形や土質を踏まえて検討します。各工法の考え方は単独の場合と変わらず、最短工期での施工と、最小曲率半径R15までの急曲線への対応という二つのメリットを両立させることができます。

■急曲線部にも対応

 二次覆工となる持込工法、押込工法は、一次覆工で構築したさや管内に本管となるPN形ダクタイル鉄管を順次、配管・接合していく配管工法です。本管にはさや管よりも小さい呼び径700~2100を使用します。
 一次覆工を推進工法で施工した区間は直線に近いため、発進立坑内で継手接合を行い、一気に挿入する押込工法が工期の面で有効です。一方のシールド工法区間は、押込工法では、急曲線部で押し込めなくなる場合があります。よって、このような場合では、各曲線部の曲率半径に合わせて定尺管や短管を所定の位置まで運搬してから接合する持込工法を使った方が確実です。
 効率的かつ適切に本管を布設するためには、特徴の異なる押込工法と持込工法を現場状況に合わせて使い分けることが重要です。持込工法と押込工法を併用した場合は、さや管内のこれらの境界部で、ドッキング接合を行います。持込工法と押込工法両方のハイブリッド形式の施工方法を行うことで、本管布設においても二つの工法の利点を最大限に生かすことが可能となっています。

■関西から全国展開へ

 ハイブリッドシステム工法は、水道事業体が抱える「管路の更新・耐震化」という課題に一石を投じる解決策の一つと考えています。まずは関西を中心に実績を増やしていく方針で、これまでに5現場で採用いただきました。今後は、より組織体制を整えて、全国的に展開していきたいと考えていますので、ぜひご検討いただけますと幸いです。

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