水道業界EXPO ’26

中日本建設コンサルタント株式会社

キーワード
  • VR・MR研修
  • 3Dモデル
  • 技術交流会
  • 論文発表
  • 非常勤講師の派遣

中長期的な人材育成
VR・MR研修システム/論文発表による若手育成/非常勤講師の派遣

水環境技術本部
事業企画グループ次長
高木 竜一氏

■VR/MR研修システム;当社独自の人材育成(短期的な人材育成)

 建設コンサルタント業界において、2次元の設計図面から複雑な配管経路や作業手順を読み解くことは、若手技術者にとって大きなハードルとなっています。この課題を解決するため、当社では比較的安価に購入できるMeta Quest3を活用したVR・MR(XR技術)による研修システムを独自に開発・試行しています。
 本システムは、VR(仮想空間)とMR(現実空間への投影)を目的や状況に応じて使い分けることで、高い教育効果を実現します。例えば、VRでは構造を立体的に把握し、3次元で直感的にイメージを掴むことが可能です。一方、MRでは水道管や下水管の埋設工事における土留め設置の手順など、現実の現場環境に3Dモデルを重ね合わせることで、より実践的な理解を促します。
 また、本システムはインターネット接続が不要なオフライン環境でも動作するため、場所を選ばず活用可能です。
 当社では、このシステムを社内の若手育成に活用するだけでなく、今後は自治体職員の新人研修や安全対策研修など、顧客のニーズに合わせたカスタマイズを行い、社外への展開も視野に入れております。XR技術による効率的な教育環境を広く提供することで、業界全体の技術力底上げに貢献したいと考えています。

■論文発表による若手育成;当社独自の人材育成(中長期的な人材育成)

 上下水道インフラの老朽化が進む中、設計・計画を担う建設コンサルタントには、現場の維持管理までを見据えた高度な技術提案力が求められています。当社では、若手社員が自らの業務を客観的に分析し、論文としてまとめる「技術交流会」を毎年開催しています。
 社内選考を通過した若手社員が、一般的な学会形式に準じた論文を作成し、大きなホールでプレゼンテーションを行います。この取り組みの最大のメリットは、業務成果品の品質向上と、論理的な説明能力の習得にあります。論文作成の過程では管理職による綿密な添削指導が行われ、周囲も組織的にフォローします。通常の業務と並行して進めるため完成までには時間を要しますが、専門外の相手に対しても、自身の業務を分かりやすく、かつ的確に説明できる技術者としての素養を養う場として、非常に重要な役割を担っています。

■大学等への非常勤講師派遣;産学連携を通じた業界全体の人材育成(中長期的に効果が出ることを期待している人材育成)

 技術者不足や実務を教える人材が少ないといった課題に対応するため、当社では次世代を担う技術者の育成に寄与すべく、大学等へ積極的に非常勤講師を派遣しています。その代表的な取り組みとして、岐阜大学のインフラマネジメント技術研究センターで実施されている、社会人を対象としたME(社会基盤メンテナンスエキスパート)養成講座への講師派遣があります。私は非常勤講師として上下水道の基礎について1コマを担当し、道路下に埋設されている管路の維持管理について教えています。
 ME養成講座は、道路、トンネル、橋梁などの維持管理について現場と理論を学ぶ講座で、効果的なアセットマネジメントを提案する知識を習得するための座学、品質管理などの実務的な知識を習得するための演習、現場で維持管理などの能力を向上させる実習で構成されています。また、全ての講義を受講修了した人を対象に履修証明書が交付され、この履修証明がME認定試験の受験資格となります。
 当講座は、年に2回、6月と10月に開講し、4週間もの期間、1日5時間の授業を行いますので、受講者は合宿のような形で参加することになります。受講者は5~6年の実務経験のある自治体土木職員や建設関連業界の技術者が対象で、講座を通じて自然と受講者間の仲が深まり、横のつながりができることが大きなメリットとなっています。講座が終わった後も継続して連絡を取り合うなど、維持管理業務における連携を深めることができるので、最近盛んに言われているリスキリング(学び直し)や技術継承の意味でも、非常に意義深い講座だと考えています。
 こうした産学連携の取り組みは岐阜大学に限らず、名城大学や豊橋技術科学大学にも非常勤講師を派遣しています。名城大学では上下水道の基礎について3コマの授業を、豊橋技術科学大学では測量について半年間の授業を、それぞれ大学生を対象に行っています。このように、実務の最前線に立つコンサルタントが大学教育の現場に参画することで、業界全体の技術力向上と人材育成に貢献していきたいと考えています。

■今後の展開

 今後の展開として、VR/MR研修システムでは、コンテンツ作成コストの低減を模索しています。より早く、安く、効果的な研修環境を構築し、社外展開を実現することで、上下水道インフラ業界全体の技術力底上げに貢献したいと考えています。
 こうしたXR技術による即戦力化(短期的な育成)と、大学派遣や論文発表を通じた技術継承(中長期的な育成)の両輪を強化し、若手技術者の早期育成と社会貢献を目指します。

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