水道業界EXPO ’26

株式会社 極東技工コンサルタント

キーワード
  • 水道DX技術
  • 中央監視操作施設
  • クラウド化
  • セキュリティ対策
  • 設備更新

水道施設中央監視装置の更新
基本設計および詳細設計業務

大阪技術本部 主任技師
近藤 匠氏

■古くなった施設の更新と最適化

 当社は、上下水道を専門とするコンサルタントとして、事業体から発注される公共事業や上下水道整備・設計などの民間事業に至るまで、幅広く水インフラ事業を展開してきました。
 全国的な人口および水需要の減少、また水道施設の老朽化が深刻な課題となっている中で、持続的な水道事業の経営のために、当社では水道施設の更新と最適化に取り組んでいます。その一つが、水道施設中央監視装置の更新に係る基本設計および詳細設計業務です。

■中央監視装置の陳腐化を防ぐ

 1999年の「地方分権一括法」以降、国は総力を挙げて全国的な市町村合併を推進してきました。このような「平成の大合併」による市町村合併にともなって、元々は簡易水道事業として別々に運営していた水道事業が一緒になることで、施設数が倍増し、多大な施設の維持管理をしていかなければならないという課題があります。
 当社では、事業体ごとに資料収集から調査、施設運用ならびに管理体制を踏まえての設備やシステムの検討を行っています。具体的には中央監視装置の陳腐化、老朽化を防ぎ、事業体に見合った監視システムの検討(オンプレミスorクラウド)を提案しています。
 「オンプレミス(On-Premises)」とは、「自社(premises:敷地内)で運用する」という意味の英語表現であり、IT分野では自社の設備内にサーバーやネットワーク機器を設置して運用する形態を指します。略して「オンプレ」と呼ばれ、クラウドコンピューティングの登場以前は、自社あるいは専用データセンターの物理サーバーを利用する“オンプレ型”の運用が企業システムの主流でした。
 オンプレ環境は「サーバー」(アプリケーションやデータベースを稼働させる中核機器)、「ネットワーク機器」(LANケーブル、ルーター、スイッチなど通信を制御する装置)、「ストレージ」(業務データやログ、アーカイブを保存する機器)の3つの主要要素で構成されています。
 オンプレの特徴は、機器・データ・システムを自社の管理下に置けることです。ハードウェアの購入から構築、ソフトウェアのインストール、運用・保守までを企業が自前で実施するため、構成を自由にカスタマイズできる反面、初期費用や維持コストが高くなりがちです。
 それに対してクラウド(Cloud)とは、サーバーやストレージなどのリソースをインターネット経由で利用できるサービスの総称です。利用者は自社でサーバーを購入・設置せず、AWS・Microsoft Azure・Google Cloudなどの外部事業者が提供するインフラを「借りる」形で活用します。
 そのため、導入スピードが速く、初期費用を抑えながらスモールスタートできる点が特徴です。
 クラウドには大きく分けて「IaaS(Infrastructure as a Service)」(サーバー・ネットワークを提供する基盤サービス)、「PaaS(Platform as a Service)」(アプリ開発に必要な環境を提供するもの)、「SaaS(Software as a Service)」(Google WorkspaceやSalesforceといった完成済みのソフトウェアを利用するもの)の3種類があります。
 当社では目的やスケールに応じてこれらを組み合わせ、最適なシステム構成を実現しています。更新に際しては、将来的な人口減少を見据えた規模縮小に合わせて、設備状況や回線状況などを調査した上で、施設の重要度などを踏まえて監視の必要性を検討し、監視が必要な施設を再選定(削減・追加)しました。

■NTTのアナログ専用回線の廃止にともなう監視施設の検討・設計

 例えば中央監視装置と外部施設等を繋ぐ遠方監視設備を更新する際に、システムなどが古くなって、新しいシステムに対応できず更新ができなくなるという課題が発生することがあります。これらの課題が発生する要因として、NTTのアナログ専用回線の廃止が大きな問題となっています。
 この回線は専用回線ということでセキュリティ性が極めて高く、比較的安価ということもあって多くの事業体の方が採用されているものでした。しかし突然廃止されるということで、それらのアナログ専用回線に対応した遠方監視装置の端末を、全て更新する必要が出てきたということです。それらの遠方監視装置の端末の更新に伴い、古くなった中央監視装置も合わせて更新するという需要が高まっているのが現状です。
 このような需要による更新事業に際して、当社では新たな回線および遠方監視設備ならびに中央監視施設更新の検討・設計を行いました。遠方監視設備および回線については、各施設の位置や電波状況について調査し、各施設で最適となる回線方式を採用するベストミクス型としました。
 回線方式の種類は大きく分けて、LTE回線、光回線、また専用回線の代替としてNTTが提供している回線としてI-WAN(NTT)の3種類がありますが、重要な施設では回線を二重化(2種類の回線を採用)するなど、冗長性を確保する形で安全性も重視しました。監視施設についても、既設は複数メーカーの監視施設が地域ごと分かれて監視しており、維持管理面で煩雑化していたものを、更新で設備を集約し、維持管理性の改善を図っています。
 他にも、メーカー提案による比較検討や施工方法の検討、停電(停止)時間の短縮など、監視施設の最適化を図る提案は多岐にわたっています。複雑化する維持管理に対応し、地域の水インフラの課題解決に向けて中長期的な視点で寄り添うパートナーとして、今後も業務に取り組んでまいります。

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