水道業界EXPO ’26

株式会社 クボタ

キーワード
  • 配水ブロック
  • 更新計画
  • AI診断
  • 漏水対策
  • DX

管路の〝見える化〟で現状把握し、課題解決の入口へ
ウォーターパイプコム(WP)/デジタル配水ブロック

管路ソリューション推進部長
大倉 賢治氏

■新体制で維持管理の課題解決へ

 給水管の漏水はもとより、近年、導送配水管の漏水事故やそれに起因する市民生活への影響の大きさに関する報道が多くなっています。経年化管路率は今後加速度的に増加することは明らかで、従来型の考え方や方法による管路の維持管理や更新方法を変えていく必要があります。特に中小規模の水道事業体の技術者不足は深刻で、将来にわたり安全・安心な水道インフラを安定的に供給し続けるためにも、管路の状態を正しく把握し相応の維持管理を行いながら、的を絞った計画的な管路更新等、リーズナブルな施策が求められています。
 当社では、その解決に資するため昨年7月、管路に特化したソリューションの提案を行う「管路ソリューションユニット」をパイプシステム事業部内に設置しました。これまでの製品事業で培ってきた技術や知見をもとに、状態把握、維持管理、更新計画、工事の各分野だけでなく、総合的な管路管理について、案件形成から実行・運営までスピード重視で支援させていただきます。
 その核となるのが、当社の管路プラットフォーム「KSIS-PIPEFUL(ケーシス・パイプフル)」です。管路の現状把握や維持管理、更新計画に関するソリューションを提供する「PIPISION(パイピジョン)」と、管路設計、更新工事をDX化させるスマート水道工事システム「PIPROFESSOR(パイプロフェッサー)」を組み合わせ、新たな管路の維持管理方法を提案してまいります。今回はPIPISIONを中心に紹介いたします。

■管内情報を常時〝見える化〟

 PIPISIONは、管路管理のための管路の現状把握と、遠隔監視を支援するツールです。管路にセンサを設置し、ここで取得したデータを用いて分析や異常判定を行います。
 センサには、「ウォーターパイプコム(WP)」という、状態監視用センサを用います。これを管路の随所に設置することで、管路内の水の情報(流速・流向・水圧)を取得します。取得情報は、通信端末からクラウドサーバへ送信・記録されます。ウォーターパイプコムには、バルブとセンサが一体となった仕切弁タイプと、既設管にセンサ付きサドルを取り付ける既設管用サドルタイプの2種類があります。管路内の水の流れの見える化を行うことで、的を絞った漏水調査の実施や部分的な管路修繕、あるいはリーズナブルな更新計画策定のヒントにご活用頂きたいと考えています。
 ウォーターパイプコム(既設管用サドルタイプ)については、昨年度に静岡市上下水道局様で初めてご採用いただき、遠隔監視の導入事例として、国土交通省の上下水道DX技術カタログ(令和8年3月版)にも「ウォーターパイプコム(センシング機器)および監視・分析システムによる遠隔状態監視と配水量分析の支援」として掲載されています。
 長崎市上下水道局様では、既設管用サドルタイプと仕切弁タイプの両方のウォーターパイプコムの性能検証が行われ、ウォーターパイプコムの効果や取得データの活用等の検証結果は、令和7年度全国会議(水道研究発表会)でも発表されました。

■デジタル配水ブロックで管網管理

 管路管理においては、ブロック化された各配水エリアの入り(流入)と出(流出)を把握することがポイントとなります。しかしながら従来の物理的な配水ブロックは、40~50年間に及ぶ時間と、数十億円を超える投資が必要でなかなか踏み切れないものとされてきました。今から、こうした管網システムを構築することは非現実的と想像できます。
 ウォーターパイプコムの設置とデータを利活用する最大のメリットの一つが「デジタル配水ブロック」を構築できる点です。私たちが提案する「デジタル配水ブロック」は、管網を分割するようにウォーターパイプコムを設置し、各設置場所における水の流入・流出データを把握することで、デジタル空間での管路のブロック化を形成するものです。管路のシェープデータを頂ければ、当社の技術者がウォーターパイプコムの設置場所を提示させていただきます。また、夜間最小流量を分析することで、漏水検知も行うことが可能です。
 従来の物理的な配水ブロック化と同等の管路管理システムとして機能するため、水道事業体様には「予防保全の実現(長寿命化)」「大規模漏水防止」「有効率向上」といったメリットをお示しできると考えています。

■水の流れをトレンドグラフで

 ウォーターパイプコムで得られたデータ等を活用した遠隔監視に当たっては、マッピングシステム「PIPISION GIS」をご利用いただけます。PIPISION GISでは、管路データに加えて、センサ位置やリアルタイムな計測データを閲覧できます。
 ポイントは、水の流れの時系列データをトレンドグラフで表示できるという点です。データを毎日積み重ねていくので、異常の有無の判定やアラートを発出することができます。
 つまり、マッピングシステム上で管路内の水の流れを見える化することで、異常の有無や発生場所をすぐに把握できるということです。老朽度診断やハザードレジリエンス診断を行えばその結果もマッピング上に表示されるため、予めリスクの高い管路に的を絞った監視方法や緊急時体制など、リーズナブルな施策も可能となります。

■課題解決の入り口から、共に

 私たちクボタはKSIS-PIPEFULを活用することで、状態把握、維持管理から更新計画、そして工事に至るまでの上下水道管路に関するあらゆる業務を総合的に支援することができます。ご愛顧頂いている製品事業と両輪で、管路に特化したソリューションを推進、提案させていただきます。
 私たちは管路のプロ集団と自負しています。「どこから始めるべきか一緒に考えてほしい」というご相談も頂いております。今後、管路の老朽化は加速度的に進行することは明らかであり、管路の更新はできないにしても、現状把握のための診断や状態監視の準備を進めることが賢明と考えます。ぜひお声がけいただければと思います。

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