連載 水を伝える

日本水道新聞社は2024年で創業70周年を迎えました。本連載では、約70年間にわたる当社の報道について、日本水道新聞、日本下水道新聞の過去の紙面を通じて、印象的な出来事を回顧していきます。70周年という節目を迎えるに当たり、創刊号からこれまでの紙面を振り返ることで、読者の皆さまに当社の報道を通じた上下水道史を伝えるとともに、われわれも歴史の教訓から学び、次の10年に向けて、新たな一歩を踏み出すきっかけとしたいと考えています。

第21回 下水道は開発の大前提 第44回水友会で

昭和63年09月19日 日本下水道新聞_第0958号

2023年4月21日

田村元通産大臣が会長を務める国会議員の下水道政策集団の「水友会」は定期的に会合を持ち、下水道の普及促進をPRしていました。その44回目の会合が昭和63年9月14日、東京・紀尾井町のホテルで開かれ、夏に西ドイツ・フランスに派遣した小宮山重四郎団長をはじめとする5名の海外調査団の報告を聞きました。報告をじっと聞いていた田村会長は、観光開発や都市開発など各種の開発を進めるには、公害の未然防止策である下水道の着実な整備が何より肝心だと強調しました。

田村会長
私は随分前に欧米の下水道を見て回った。とくに久保君の示唆でルール水組合を見て勉強になった。エッセンの処理場は、到着するかなり手前からにおった。(中略)
昭和三十六年、所得倍増計画当時、中村梅吉建設大臣は「省としてではなく、政府として将来を考えよう。重化学工業による公害は目に見えている。下水道などの共同溝をどんどん造らないと」先見性を示され、感心した。
下水道の遅れを回復するには政府が広い視野で取り組むことが肝心。すばらしい開発をやるには、事前の着実な公害防止策が大前提だ。今からでも遅くはない。東京は水の確保が大変というが処理水を使えばダムを造るよりも金がかからない。羽田空港の地下だって処理場に使える。英国のサッチャー首相から「遷都とかいうが、大都市の良さを捨てるつもりか。 第二のオタワ、ブラジリアを造るのか」といわれたよ。(原文ママ)

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