連載 水を伝える

日本水道新聞社は2024年で創業70周年を迎えました。本連載では、約70年間にわたる当社の報道について、日本水道新聞、日本下水道新聞の過去の紙面を通じて、印象的な出来事を回顧していきます。70周年という節目を迎えるに当たり、創刊号からこれまでの紙面を振り返ることで、読者の皆さまに当社の報道を通じた上下水道史を伝えるとともに、われわれも歴史の教訓から学び、次の10年に向けて、新たな一歩を踏み出すきっかけとしたいと考えています。

第13回 試練と不透明の予算 前途多難な第5次計画

昭和56年_01月26日 日本下水道新聞_第0590号

2022年12月23日

下水道事業に関わる昭和56年度予算政府案は、第5次下水道整備5ヵ年計画の枠組みや、初年度としての昭和56年度の実額と内容においても、国民的要望と良識的期待を体よくうっちゃり、複雑な波紋を投げかけました。
事実、第1次5ヵ年計画が発足した昭和38~49年度の補助率アップに伴う事業費減を除き、順調な伸びを示し、経済や財政の変動にもかかわらず、遅れた生活関連施設として認識され、成長路線を着実に進んできただけに、昭和56年度の実質的には低減するであろう事業量と横ばい的予算は、低迷感とともに容易でない前途を案じさせられました。
しかし、健康で豊かな生活・国土づくりの基盤を成す下水道を緊急に整備することは、国民の声であり、避けて通れない政策の王道であることから、財政再建予算とはいえ、理解しがたい予算であったと評されています。

昭和56年1月26日付の日本下水道新聞に掲載された社説「試練と不透明の予算」では、昭和56年度予算について、次のように論じています。
五十六年度の予算は極めて厳しいといわれてきたので、下水道の関係機関と関係者は一丸となって出来るだけのPRや運動を展開した。しかし、結果は前述の通りで「下水道は別だ」、「下水道は伸びる」といった神話めいた希望は通用しなかった。というよりも、通用しない事態なのかも知れない。つまり、高度成長時代から厳しい試練の時期に入ったと同時に、その前途は多難で不透明であることを、五十六年度の下水道予算は実証している。

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