連載 水を伝える

日本水道新聞社は2024年で創業70周年を迎えました。本連載では、約70年間にわたる当社の報道について、日本水道新聞、日本下水道新聞の過去の紙面を通じて、印象的な出来事を回顧していきます。70周年という節目を迎えるに当たり、創刊号からこれまでの紙面を振り返ることで、読者の皆さまに当社の報道を通じた上下水道史を伝えるとともに、われわれも歴史の教訓から学び、次の10年に向けて、新たな一歩を踏み出すきっかけとしたいと考えています。

第7回 日本下水道事業団に 親しまれ、信頼される事業団に

昭和50年_08月04日 日本下水道新聞_第0322号
昭和50年_08月11日 日本下水道新聞_第0323号

2022年09月30日

下水道事業センターは、発足から3年後の昭和50年8月1日、日本下水道事業団に生まれ変わりました。これに伴い、副理事長、理事、監事、新設の試験研修部長などの人事も発令され、新たなスタートを切りました。

昭和50年8月4日号の1面では、このニュースについて次のように記しています。
下水道事業センターを拡大改組し「地方公共団体の委託に基づき」七項にわたる業務を遂行し「下水道の整備を促進し生活環境の整備と公共用水域の水質の保全に寄与することを目的」とするというユニークな総合機関であり、下水道の整備促進を通じて〝豊かな環境の創造″に貢献するものとして一層期待と関心を集めることになろう。(原文ママ)

しかし、翌週8月11日号では、日本下水道事業団について、「機構や陣容を整えてのスタートだけに期待は大きなものがある。その反面、その評価の目も厳しい」と述べ、約3年にわたる下水道事業センター時代の批判・要望を踏まえた次のような解説を掲載しました。
その原点は、下水道事業センターを創意、設立した際に掲げられた 「地方公共団体の技術者不足に対処するもの」であり、これを源流に前述したような多目的の機能に拡充された経緯からして、国の政策を推進する建設主体の体制を意図するとしても、この際、原点を再認識する必要があろう。
それは、地方公共団体の技術者不足と技術力の弱体さをカバーするサービス機関として認識され、呱々の声をあげたということは、きわめて重要な意義をもっているからである。
一般的にみて、下水道事業センター三年ほどの実績は、一部筋以外からは正当に理解されていないきらいはあるけれども、予期されたほどの評価を受けていないのが事実であろう。

なぜ評価されなかったのか。一概に解明しえないにしても、事業団に衣替えした現段階において深く反省を試み、新生事業団として改善策を断行してしかるべきだと考える。
第一に「親しまれる事業団」を志向することであろう。複雑な人的構成にもよるであろうが、サービス機関としてのあり方が稀薄でややもするとその体質や対応に官僚的といわれるようなことはないかどうか。(中略)
第二は「信頼される日本下水道事業団」を確立することであろう。技術的にも、事務処理の面においても、地方公共団体と民間企業の中間に位置する日本下水道事業団は、親しみの上に、〝信頼性″を定着化させ、その信頼を基調に正当かつフェアに運営される必要があろう。
第三は「能率的で経済的な事業執行」である。ややもすると公団、公社といった機関は親方日の丸的であり、そのため能率とか経済性がどうしても失なわれやすい例からして、日本下水道事業団だけは従来のテツを踏むことなく能率的で経済的な執行を図ってほしいものである。(中略)
まず「親しまれ信頼される清新な日本下水道事業団」を求めて、新たなスタートを切ってほしいと思うのである。(原文ママ)

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