連載 水を伝える

日本水道新聞社は2024年で創業70周年を迎えました。本連載では、約70年間にわたる当社の報道について、日本水道新聞、日本下水道新聞の過去の紙面を通じて、印象的な出来事を回顧していきます。70周年という節目を迎えるに当たり、創刊号からこれまでの紙面を振り返ることで、読者の皆さまに当社の報道を通じた上下水道史を伝えるとともに、われわれも歴史の教訓から学び、次の10年に向けて、新たな一歩を踏み出すきっかけとしたいと考えています。

第6回 国費主導の下水道時代へ 画期的な補助率アップ

昭和49年_01月14日 日本下水道新聞_第0245号

2022年09月16日

昭和49年度の政府予算、財政投融資計画案は総需要抑制、公共投資の節減といったかつて例をみなかったほどの緊縮方針をベースに進められ、決定したといわれています。その中で下水道予算は、総国費が前年度比333億円、12%増の1833億円に決まり、生活優先や環境整備重点の施策を裏付け、それなりの評価を受けていましたが、なんといっても特筆大書されるべきものは画期的な一連の補助率アップでした。

昭和49年1月14日号の1面に掲載された社説には、次のように記されています。
四十八年度予算案編成の段階では中途で見送った捲土重来の問題であったばかりでなく、その後の下水道財政研究委員会提言や都市計画中央審議会の答申で〝道路、河川なみ補助率〟が強く訴えられ建設省や自民党はこれが実現のため細心かつ大胆な根回わしや説得を重ね、下水協や地方公共団体も執ように運動を展開してきた〝共同の大目標〟であっただけに、実現をみた今、関係者はそれぞれの感慨にひたっているのも、むべなるかな、というべきであろう。
公共下水道十分の四(ただし処理場三分の二)、流域下水道三分の二(ただし処理場四分の三)、都市下水路十分の四という新補助率は、管きょ分と処理場分に格差を生じさせたとはいえ、緊縮財政―総需要・公共事業抑制という厳しい環境と条件下において実現したところに大きな意味がある。一般的には、緊縮財政のため国費を増やすことでお茶を濁しかねない情勢であったのだが、総需要―公共事業抑制という厳しい流れを転流させ、補助率アップという〝一石二鳥″か〝一石三鳥″の施策をあえて断行して、下水道のナショナル・ミニマム思想に〝目玉″を入れることに成功した。
それは地方財政の負担を軽減させ、地方公共団体が下水道事業を容易に推進しえるレールを新設し、国費主導型の下水道整備体制を拡充、確立した措置として評価されるばかりでなく、政府・与党が下水道整備を国策的に推進することを実証し、わが国の近代下水道史に画期的な一ページを書き加えることになろう。(中略)
一連の補助率アップを実現して国費主導の新レールを敷き、五十年度以降はその上に第四次下水道整備五ヵ年計画に総称される諸計画や新事業群を乗せ、本格的にバク進することになろう。
国費主導の新下水道整備時代はかくしてスタートを切る――。(原文ママ)

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