連載 水を伝える

日本水道新聞社は2024年で創業70周年を迎えました。本連載では、約70年間にわたる当社の報道について、日本水道新聞、日本下水道新聞の過去の紙面を通じて、印象的な出来事を回顧していきます。70周年という節目を迎えるに当たり、創刊号からこれまでの紙面を振り返ることで、読者の皆さまに当社の報道を通じた上下水道史を伝えるとともに、われわれも歴史の教訓から学び、次の10年に向けて、新たな一歩を踏み出すきっかけとしたいと考えています。

第36回 トリハロメタン対策 56年通知

昭和56年_03月30日 日本水道新聞_第2194号
昭和56年_06月11日 日本水道新聞_第2213号

2023年12月1日

水道水中の有機塩素化合物に発ガン性の疑いがあるとして、各方面からトリハロメタン問題が注目されていました。

厚生省は二十五日付で「水道におけるトロハロメタン対策について」の水道環境部長名通知及び「水道におけるトリハロメタン対策に係る留意事項について」の水道整備部長名通知をまとめ今週中に各都道府県に送付する。(中略)部長通知では「制御目標値〇.一〇mg/ℓ以下」を行政ベースに乗せ、①測定及び測定体制の整備②低減対策の実施を打ち出し、これを受けて課長通知は①検査方法②測定場所③測定回数④測定体制の整備計画⑤低減技術及び低減計画の策定⑥その他――の詳細を通達している。通知によると、浄水場系統ごとに原則として年四回以上測定が原則だが、水道におけるトリハロメタンの生成には過マンガン酸カリウム消費量または色度と相関関係があるところから、表流水で「過マンガン酸カリウム消費量十二mg/ℓ」、地下水または伏流水で「色度二十度」を目安に測定回数を定めることとしている。なお、厚生省では分析方法も含めたトリハロメタン対策の衆知徹底を図るため、四月下旬にも全国都道府県水道担当係長会議と技術講習会をセットで開催することを検討している。(原文ママ)
トリハロメタン測定の対象となる事業は約一万九千にのぼる水道事業(簡易水道含む)、水道用水供給事業、専用水道。簡易専用水道は除外されている。測定は浄水場ごと(複数水源の場合は水源ごと)に行われることが必要。(原文ママ)
トリハロメタン測定の対象となる事業は約一万九千にのぼる水道事業(簡易水道含む)、水道用水供給事業、専用水道。簡易専用水道は除外されている。測定は浄水場ごと(複数水源の場合は水源ごと)に行われることが必要。(原文ママ)

なお、トリハロメタンについての関心は強く、この年の水道週間行事の一つとして6月1日に大阪市で、水を供給する自治体労働者と住民団体がトリハロメタンなど飲料水の問題について話し合う「大阪の水を考えるシンポジウム」が開かれた。近畿各地から330人が参加し、「命の水を守るたたかいに立ちあがろう」という集会アピールを採択した。

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