米国環境保護庁 (APA)が昭和49年11月の報告書で、『有機性物質が比較的多い水を塩素処理すると発ガン性物質が形成される』と指摘、「人間の健康に影響を及ぼす可能性は否定できない」としてTHM濃度を低減化することとし、0.10 mg/ℓの規制に踏み切りました。わが国でも51年以来、調査研究に取り組み、制御目標値(0.10 mg/ℓ以下)が作られました。発端は、ニューオルリンズ市の浄水中に発ガン性物質を含む66種類の有機物質が発見されたことでした。
「トリハロメタン」について、公に厚生省の見解が出されたのは昭和55年6月20日の「日本の水道は特に問題なし」というものでした。
(中略)厚生省は二十日、有機塩素化合物の〝代表選手〟としてトリハロメタンを取上げ、「当面、飲料水の安全性について特に問題はないものと考える」との見解を明らかにした。近年における水質汚濁の進行と分析機器の進歩は安全性の点で未確認の物質を登場させているが、水道をめぐる水質問題においては過去のPCB、カシンベック病以来の大問題とみられ、その早期対策が望まれるところである。厚生省では五十一年度以降、各種団体等による調査研究を進めており、今秋には当面の暫定的な措置に係る指導方針を明らかにする予定で、内容が注目される。
トリハロメタン問題に対する厚生省見解
一、トリハロメタンは、各種有機廃水のほか天然水中にも比較的多く存在するフミン質等の有機物質と遊離塩素が反応して生成するとされており、米国等においては人の健康に影響を及ぼす可能性が否定できないとして、飲料水中のトリハロメタン濃度を低減化していく方針を出している。