昭和57年11月27日、生活環境審議会水道部会の三つの専門委員会のトップを切って水質専門委員会(大沢利昭・東京大学薬学部教授)が開かれました。
近年における分析技術の進歩は水道原水中の多数の有機化学物質の存在を明らかにしているが、これら物質の中には発ガン性など人の健康への影響が懸念されるものもあり、水道サイドとしても水道水の一層の安全性を確保することが大きな課題となっている。また、異臭味水の供給による千七百万人もの人々が影響を受けていることも報告され、供給水質に対する国民の関心も高まっているところであり、(中略)
①水道水中の微量有機化学物質の規制②おいしい水の供給―に焦点をあてて審議を行ったが、このうち「微量有機化学物質」については基準の設定のほか、検査方法及び検査体制、また「おいしい水」については評価方法、ガイドラインの設定、塩素注入管理のあり方―について、今後六回程度の会合を開いてまとめていくことになった。(原文ママ)
厚生大臣の諮問機関である生活環境審議会(会長=鈴木武夫・国立公衆衛生院長)は二十六日午後一時半から東京・霞が関の厚生省特別第二会議室で水道部会(部会長=小原隆吉・前日本水道協会専務理事)を開き、「高普及時代を迎えた水道行政の今後の方策」についての答申をまとめ、渡部厚相に提出した。答申は、高普及時代における水道の目標として①ライフラインの確保②安心して飲める水の供給③おいしい水の供給④料金格差の是正――の四本柱を打ち出し、量・質両面における向上を目指すべきだとしている。「ライフライン確保対策」では地震・渇水等に強い施設づくり、「安心して飲める水対策」では水質基準等の充実、微量汚染も含めた水質監視体制整備、簡易専用水道の管理徹底など、「おいしい水対策」では富栄養化防止、浄水操作の適正化、高度処理導入、「料金格差対策」では最高と平均とで二倍以内の格差を目途とした補助制度の運用配慮など――を目標達成のための具体的方策としている。答申を受けた厚生省では今後、答申項目に必要な肉付けを行い、施策へ結びつける考えだ。(原文ママ)