「総論賛成、各論反対」で、なかなか進まない広域水道。そこで、日本水道協会は「進め方」と 「あるべき姿」という観点から、事業体サイドの考え方について審議し、「水道広域化は関係者の積極的努力により推進されることが強く望まれる」としました。しかし、昭和54年当時、広域水道に関する動きは遅々として進まず、いかに需要者の立場・視点で捉え、対処するかが求められていました。
日本水道協会は十四日午前十一時から東京・千代田区の同協会四階会議室で第七十八回事務常設委員会(委員長=舩木喜久郎・東京都水道局次長)を開き、①「水道広域化対策の進め方と広域水道のあるべき姿」並びに「広域水道用水料金のあり方」②地方公営企業財務会計制度の改善――について審議した。このうち、広域水道関係については三月二十三日に開かれた同委の席上呈示された原案に対し、用水供給及び末端給水の両事業者の意見調整を図り答申案としてまとめたもの。「進め方」と「あるべき姿」では①水道広域化の意義②水道広域化の対象区域③広域水道の形態④広域化の実施主体⑤市町村の意志の尊重、また「用水料金」では①基本的事項の事前合意②用水料金の決定基準③料金決定にあたっての問題点 ④料金体系⑤協議――についてまとめる一方、「財政援助」を共通項目として掲げ、現実と理念との調整を図っているのが特徴で、二十八日開かれる第八十七回常任理事会に答申されることになる。(中略)
今回まとまった水道広域化の答申内容を見ると「水道広域化は関係者の積極的努力により推進されることが強く望まれる」と前置きし、結論は①理想的な区域設定ができなくても、メリットが期待されるなら段階的に実現可能な区域を対象とすることも必要②未来像答申の完全実現には末端給水までの広域化―水道の一元化経営方式が最も有効だが、現実においては用水供給による広域化方式も実情に応じた施策として評価できる――となっている。