昭和41年4月4日号の日本水道新聞では、地方公営企業法の改正の背景について3党代表討論を掲載しました。出席者は、奥野誠亮(自民)、安井吉典(社会)、門司亮(民社)の各衆議院議員に柴田護自治省財政局長、小林重一日水協理事長の5人でした。
その中で柴田局長は冒頭、「赤字が増えてどうにもならなくなってきているので、これを健全な姿にしたい。今後の公営企業の経営体制をしっかりしたものにし、経営健全化路線を敷きたい。そして、その経営健全化路線を歩むことを前提としての財政再建であり、赤字を始末するというだけでなく、今後とも赤字が出ないような仕組みを作りたい。経営陣営については、雇われマダム式考え方の経営ではなく、水道なら水道で本当に水道経営に徹底していただくということから企業管理者にある程度、自由に人材を選べる道をこしらえる意味で、これを特別職扱いにする。また、経営を任せるので議会との関係で、ある程度の独自性を持たせ、その職員の身分関係は労働関係をそのままにし、一般会計の職員とは異なった給与体系をとるべきだということを前提にしている」と発言しました。
そして、昭和41年3月7日号に掲載された社説「新地方公営企業法案の諸点」においては、次のように論じました。
管理者の地位を強化し、料金の適正化をうたい、給与制度の改善を掲げ、負担区分の明確化を指示する新法案は、現行法の不備な点を強力に補強するものであるが、貫く思想は企業性の向上であり、企業的経営の導入である。(中略)
この〝管理者優位の原則〟は、例えば水道事業の場合、多くの事業体が建設段階から経営段階に入りつつあることと符合している事実からして、非常に重要な意味合いを包蔵しているのではなかろうか。企業としての経営活動が活発になることを暗示させるだけでなく、制度的にも権能的にも、そうした仕組み、システムが確立されていくことを示しているといえるからである。