連載 水を伝える

日本水道新聞社は2024年で創業70周年を迎えました。本連載では、約70年間にわたる当社の報道について、日本水道新聞、日本下水道新聞の過去の紙面を通じて、印象的な出来事を回顧していきます。70周年という節目を迎えるに当たり、創刊号からこれまでの紙面を振り返ることで、読者の皆さまに当社の報道を通じた上下水道史を伝えるとともに、われわれも歴史の教訓から学び、次の10年に向けて、新たな一歩を踏み出すきっかけとしたいと考えています。

第10回 公営企業金融公庫と 当初は三省類似案

昭和32年_05月02日 日本水道新聞_第0149号

2022年11月04日

水道・簡易水道の整備促進が全国的に叫ばれる中、資金不足が最大のネックとなっていることから、厚生省は資金を調達する方策として「水道金融公庫案」を発表し、政府予算要求と関連してアピールを行いました。これに対抗するように、建設省は民間資金と政府資金を受け入れて、水道、工水道、下水道の建設を行ったり、水道の建設資金を融通する「水道公団案」を発表しました。
一方、自治庁は上下水道事業以外も対象とする「地方公営企業金融公庫案」を出し、3省3案の競合の形で成り行きが注目されましたが、結局、自治庁の提案する「公営企業の健全な運営に資するため、特に低利、かつ、安定した資金を必要とする地方公共団体に対し、その資金を融通」する公営企業金融公庫法にまとまり、同法は昭和32年4月に制定、同年6月に設立されました。
公営企業金融公庫の初代総裁に就任した三好重夫氏は「電話1本で、地方公共団体の資金需要に即応するサービスをモットーに、少人数の職員で期待に応えたい」と語っていましたが、政府資金の利率に比し〝1馬身差(1厘差)″の公募資金を調達するなどの成果を上げ、上下水道など地方公営企業の健全な運営に貢献しました。

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