連載 水を伝える

日本水道新聞社は2024年で創業70周年を迎えました。本連載では、約70年間にわたる当社の報道について、日本水道新聞、日本下水道新聞の過去の紙面を通じて、印象的な出来事を回顧していきます。70周年という節目を迎えるに当たり、創刊号からこれまでの紙面を振り返ることで、読者の皆さまに当社の報道を通じた上下水道史を伝えるとともに、われわれも歴史の教訓から学び、次の10年に向けて、新たな一歩を踏み出すきっかけとしたいと考えています。

第36回 水循環マスタープランの策定 下水道懇談会が答申

平成10年_03月23日 日本下水道新聞_第1424号

2023年12月8日

「良好な水循環・水環境を確保するための下水道の役割」を審議していた「下水道懇談会(座長=松尾友矩・東大大学院工学系研究科教授)」が二十日、第九回会合を開いて報告書をまとめ、赤崎日本下水道協会会長に答申した。報告書は「良好な水循環・水環境のため、下水道は普及率の向上とともにますます重要になる」とし、①水循環・水環境の概念及びその良好性要件の定義を提示②流域単位の水量・水質の一体管理を提唱③水循環マスタープランの策定を提案④必要な地域での下水処理水上流還元事業の実施を提案―したのがポイント。
報告書は、良好な水循環、水環境について、①人間にとっての安全性・快適性②自然の水循環を基本に、人間が適切に手を加え自然の水循環に近づけること③多様な生物との共生④持続的発展を担保すること―が特に重要であるとしている。
そのために、流域の水管理において、「水量、水質、利水・排水の方法を総合的に検討し、土地利用に関する施策も併せて講じることが重要。さらに親水機能を果たす場であることを考え、環境容量の拡大策への取り組み、地球温暖化防止のためのライフ・サイクル・アセスメントの実施も必要。このために関係行政が連携して一体的に取り組むべきだ」としている。
その具体的方策として①流域単位で水量と水質を一体的に評価し、望ましい水循環のあり方とその方策をまとめた水循環マスタープランの策定が必要。そのため先導的に流域別下水道整備総合計画の見直し、充実を図る②人口・産業の集積及び雨水流出量について総量規制的考え方を土地利用制度に反映させる③必要となる規制や公共投資にコンセンサスを得るため、良好な水循環・水環境の維持のための費用便益判定の確立――などをあげている。(原文ママ)

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