第38回

水辺とワインに癒されて

安井 美裕
北海道池田町長
「ワイン城」の外観
十勝平野を流れる利別川の風景
水辺で乾杯

2026年5月7日

本町は今から63年前、国内初の自治体ワイン「十勝ワイン」を誕生させ、ワイン造りを核にまちづくりを進めてきました。製造拠点である池田町ブドウ・ブドウ酒研究所は、市街地を見下ろす丘の上に建ち、中世ヨーロッパの古城を思わせる姿から「ワイン城」の名で親しまれています。ちなみに私は39年前、ワインの製造技術者として本町に奉職したのでした。
ワイン城から望む日高山脈と十勝平野は、日本の夕日百選にも選ばれた絶景です。さらに私が大好きなのが、十勝平野を悠々と流れる利別(としべつ)川の風景で、ワイン造りに没頭し忙しい日々の中で何度も癒されてきました。
昨年、その利別川のほとりで「水辺で乾杯 池田町」というイベントを開催しました。平日の夕刻、河川敷に集まった町民400名余りが、山並みに沈む夕日を眺めながら町内産スパークリングワインで乾杯。キッチンカーや若者有志の露店で、地元食材の「ピザ」や、いけだ牛の「メンチカツ」などをワインと共に味わいました。猛暑続きの後でも当日は心地よい風が吹き、会話と笑い声が広がる水辺は、確かな「癒し」を運んでくれました。
池田町町民憲章は「わたしたちは十勝川と利別川にはぐくまれた池田の町民です。」で始まります。川は、季節ごとに表情を変えながら、暮らしに恵みと潤いを与え続けてきました。だからこそ、守りたいのは水の清らかさだけではありません。川辺で人が集い、語らい、同じ夕日を見上げられる時間そのものです。そして、水辺の存在はまちの誇りです。
グラスを交わす小さな乾杯が、まちの未来への合図になる。ワインが育ててきた誇りと、水辺が届けるやさしさを胸に、これからも池田町らしい豊かさを次の世代へつないでいきたいと思います。

安井 美裕 やすい・よしひろ

安井 美裕

やすい・よしひろ

1964年12月3日生まれ
十勝管内池田町長(2020年10月31日就任)
※元池田町ブドウ・ブドウ酒研究所長(池田町職員)
・北海道ワイナリー協会 会長
・日本ワイナリー協会理事

経歴等
・1964年 十勝管内鹿追町 生まれ
・1987年 帯広畜産大学畜産学部農産化学科 卒業
 同年池田町に奉職(池田町ブドウ・ブドウ酒研究所醸造係)
 町職員として、16年間、ワインの醸造・研究業務に従事
・2015年 ブドウ・ブドウ酒研究所長
・2020年 9月 町職員を退職
 10月 池田町長に就任
現在に至る

趣味
和飲 ※和やかに和気あいあいとワインを楽しむこと

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第14回〜第25回

第26回〜

連載 水を伝える
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