水道業界EXPO ’22

株式会社 多久製作所

キーワード
  • 耐震継手・耐震性鋼管継手
  • 耐震化
  • 老朽管更新
  • 溶接レス継手
  • 水管橋・添架管

進化するモノづくりを

橋梁添架管向け溶接レス耐震性鋼管継手「TASCUL JOINT-ER型」

■意識の高まり

 水管橋診断の調査依頼は今年度に入ってからも増えています。和歌山の水管橋崩落事故後、事業体側の水管橋に対する危機意識が徐々に高まっていることを感じています。やはり厚生労働省から都道府県や全国の水道事業者に対して水管橋の緊急点検等が通知されるなど、国が点検の重要さをクローズアップしたことが基点になりました。今後は、大型の断水発生によるリスクが大きい水管橋を最優先に、徐々に点検結果を受けた修繕や場合によっては架け替えなどの対応が図られるのではないかと考えています。
 橋梁添架管向け溶接レス耐震性鋼管継手「TASCUL JOINT-ER型」(ER型)のラインナップは口径50~150と中小規模の橋梁添架管を対象にしています。秋頃には新たに口径200を追加する予定ですが、もしかすると単独の水管橋に比べると需要的にはまだ先になるかもしれません。ですが、基幹管路の橋梁添架管で対象の口径がある場合もありますので、視野を広げた提案を進めていきます。

■「知って」もらうから「理解」してもらう

 昨年度から先行して、営業活動を行っていたことは非常に大きかったです。サンプルをお持ちした製品PR等を事前に展開していた結果、4月の製品発売時には、カタログなどの資料と合わせた具体的な広報活動に移すことができました。事前にサンプル等で施工性をご確認いただいていたため、架け替え計画の採用までスムーズに進んだケースもありますが、まだ実績が少ないことから受け入れていただくのに時間がかかることもあります。そのため、製品を理解してもらう場として今年度からは事業体や設計事務所の技術者の方を対象にした説明会の実施を強化しています。すでに現在までに何回か開催したのですが、製品の特徴から施工性や安全面などを具体的に知れる良い機会だと好評です。営業活動も発売前の「知ってもらう」段階から、興味をもった事業体に「理解してもらう」段階へと徐々に切り替えて取り組んでいます。
 販売前は戦略としてシングル管の多い西日本を中心にER型の展開を考えていましたが、実際に活動していると二重管の採用が多い東日本の寒冷地でも水道用鋼管継手「TASCUL JOINT-AS型」(AS型)をご活用いただける可能性が見えてきました。例えば東日本の寒冷地では二重管構造として凍結防止が重要となり、現地接続部の外装部施工はラッキングなどのカバーとなっているケースが多く有ります。その際に内管にステンレス等を使用するのであれば溶接が発生します。そこにAS型が対応できれば、施工時間の短縮による施工性と安全性の確保だけでなく、溶接を伴わないことから一定品質の確保、環境対策等の配慮にもなります。西日本側では耐震性、東日本の寒冷地側では作業性・品質管理面や工期短縮をキーワードに製品を提案していくため、5月から東日本でも積極的に展開しています。今後どのような反応を得られるか楽しみにしています。
 ほかにも、施設内の露出配管で使うフランジの代替や深井戸の揚水管に活用できないか等の発想からの逆提案もいただいています。すぐに対応できるものばかりではないですが、将来的に実現したら今後、もっと多方面での活用が期待でき面白くなるのではと感じますし、実際営業活動を展開していくと、従来想定していなかった地域においてもニーズに合わせたご提案ができることを示唆できました。
 継手開発に当たっては、現在、添架管の機能として必要な伸縮可とう管のフランジレスや溶接レスを実現するために、橋梁添架管での使用が多いベローズ型伸縮管に耐震型継手の受け口・挿し口を備えた製品を直近に発売できるように整備しています。また、施設内の露出配管においてもフランジレス化を目指しバルブ等の機器メーカーさんとのタイアップも検討していくのも一つだと考えています。ただ、施設内配管は地獄配管になってしまうため、フランジでは対応できますが挿し込み式の継手だと限界があります。配管施工の調整代を取る必要があり、その調整管継手を今後検討して行く予定です。施設内配管でのフランジレス化には同業メーカーさんとのタイアップも必要となる事からまずは市場ニーズを捉えながらになりますが、本継手に興味を示してくださる同業メーカーさんもおられますので今後、協働し良い提案が出来ればと思います。

■実績を積む

 昨年、本製品をモデル採用していただいた米子市水道局では狭隘桁下での添架管施工に当たった関係者の方々から「軽量かつワンタッチ式の簡単接続により施工時間を大幅に短縮することができた」と高く評価していただきました。その後も、九州地区・中四国地区・近畿地区などで実際に採用していただく事業体が着実に増えてきています。
 また耐震性・耐久性を持つ継手開発に当たっては、神戸大学大学院/鍬田准教授と共同で耐震性にかかる研究を約3年間にわたり行いました。一般的な剛支承に加えてゴム支承を有する橋梁の振動特性を踏まえた振動観測、地震応答解析の結果を通じて、現行の設計方法において接続部にかかる応力に対する耐震型鋼管継手の性能が評価されました。大規模なあるいは特殊な形式の水管橋に対して地震応答解析を行った事例はこれまでもありましたが、添架管を対象にしたものは限られていました。また、現在発刊されている耐震設計指針には、橋梁添架管の鋼管継手を対象にした耐震計算法は示されていません。産学連携で橋梁添架管継手に求められる耐震性能評価の確立を行い、取りまとめた成果を発表することで今後の知見としてもお役に立てると考えています。今後研究の成果は土木学会論文および10月開催予定の日本水道協会主催の水道研究発表会(名古屋開催)で発表する予定です。

■開発後も進化を

 ウクライナ情勢など世界的な経済情勢の影響を受けた材料高騰は痛手です。ステンレスだけでなく、すべての材料や原料が高騰する中で、メーカーや関連会社は苦心されていると思います。われわれも企業努力を続けていきますがコストを抑えてよりよいものをと、考えていた矢先だったので、現在の世界情勢に巻き込まれてしまった感は否めません。ですが、当社は「売り手・買い手・世間・作り手・環境・未来」の6方よしの実現とともに、配管施工におけるお困りごとに最適なご提案ができるよう努め、「困りごとに対して何をすべきなのか」を念頭に置いた製品開発や技術提案で、持続可能な水道施設の耐震化・強靱化事業へ貢献していく姿勢を一貫し、レジリエントなインフラ環境構築を通じてSDGsの目指す開発目標にも貢献してまいります。
 耐震型継手の開発に当たっても、発売開始となり一つの区切りがつきましたが、ここで終りではなく、むしろここからがスタートと考えていますので、お客様のニーズをお聞きし、さらに進化しバージョンアップする可能性を秘めた製品だと捉えています。お客さまには製品の説明をお聞きいただき実際使っていただければ満足していただける製品だと自負していますが、今後本製品をさらに進化させよいものにしていくためにはお客さまの実態感で判断していただいた声も重要です。実績はまだまだ少ない製品では有りますがご検討頂ければと思います。今後も研究や開発のチャンネルを広げていけように、製品のPRを兼ねたお客さまへの困りごとのヒアリングを続けていきます。

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