水道業界EXPO ’22

株式会社 極東技工コンサルタント

コミュニケーションが次世代の水道を拓く

■「投資と財源のバランス」は今後の命題

 自然災害や老朽化によって、水道施設・管路が損傷し断水となるケースが全国的に発生している中、全国の事業体では施設・管路の更新・耐震化に取り組まれておられますが、一方で料金収入も全国的に右肩下がりの減少傾向にありますので、「投資と財源のバランス」をこれからどうしていくかということは、どの事業体においても大変な課題になっていると考えています。
 「投資と財源のバランス」を検討するためには、まずは事業体自らが資産を把握して、その上でその資産をいつ、どのように更新していくかを考えていく必要があります。この考え方に立って、改正水道法では水道施設台帳の作成と保管が義務付けられましたが、その期限が今年の9月末と迫ってきております。私たちも台帳作成の業務を複数受注しており、完成に向けてラストスパートとして取り組んでいるところです。
 これまで台帳を持たれていなかった中小規模の事業体からは、台帳整備により資産全体を見渡すことができたとのご感想をいただいております。一方で、市町村合併等により管理する施設数が膨大になった事業体からは、「施設台帳のおかげで資産全体を見渡すことができて、アセットマネジメント計画も策定しているのだが、今まで本格的な更新事業を行ったことがないので、一体どの施設を優先して更新すればよいか、自分たちだけでは検討することはなかなか難しい」とのご意見もございます。
 こういったご要望に親身になり、事業体の方々としっかりと円滑にコミュニケーションをとって、一緒になって将来の水道のあり方をデザインして、よりよい更新計画を取りまとめることが、私がめざしているところです。

■更新計画策定は密な協議が大切

 最近は、中大口径管路の更新に関する基本設計の委託業務を受注するケースが増えてきました。既存の幹線管路が埋設されている道路の幅員が狭いなどの理由から、同じ道路での布設替えが困難なため、新たなルートを検討することにも多く携わってきています。発注者の方からこの道路がよいのではないかというお話をいただくことがありますし、真っ新の状態で一からの検討をお願いしますというお話をいただくこともありますので、更新ルートの検討業務は、事業体ごとにケースバイケースとして行わせていただいています。
 かつては、多くの事業体にお一人は配水管網を熟知して、漏水が発生した際にはどの仕切弁を閉めたらよいかといったことをすぐに判断される方がおられました。しかし、平成の大合併の時期を経て、施設の規模当たりの職員数が減少し、また他部局との人事異動の機会が多くなったことなどから、そういったベテランの方が少なくなってきたように思います。
 ベテランの方のこうした知識・経験を補完しているのが、管網計算システムです。管路のルートが変わりますと水圧にも影響が出てきますので、口径が同じままでいいのか、それともダウンサイジングできるのかについて、将来の水需要予測も踏まえて解析することが必要になります。当社で管網解析を行う場合がありますし、当社が設計した布設ルート案を基に事業体がお持ちのシステムで解析をされる場合もありますし、こちらに関してもケースバイケースとなっています。
 管路施設は、資産価値に換算しますと、水道資産の大部分を占めますので、当社では、ダウンサイジングの他にも開削工法の適用が可能であればできるだけ採用する、非開削工法が求められる場合は新技術の工法も考慮する、交付金事業の適用が可能な場合には適用を検討するなどして、事業体の負担をなるべく減らすことを検討するように努めています。こうした検討業務は当社だけで行うのでは机上の空論となることがありますので、事業体の方との協議を行わせていただきまして、ある箇所では日中の工事が困難ですとか、逆に日中だけしか工事を行うことが難しいといった現場のお話を伺いながら、計画を練り上げていくことが大切だと思います。

■違う立場の人が意見交換することが次の展開に

 現在、施設の更新需要が顕在化してきている一方で、水道事業収入の落ち込みが年々大きくなってきています。収入不足を一般会計からの繰り入れで賄っている事業体も少なくありません。
 こうした現状を踏まえまして、当社では冒頭に申し上げた「投資と財源のバランス」を十分考慮して更新計画策定に関する協議を行わせていただいています。協議の際には、事業体の方には計画部門や維持管理部門の方に加えて、経営部門の方にも入っていただくようにお願いしています。私たちコンサルタント側も、技術者が設計だけでなく財政に関することも含めて幅広い知識を持つように努めていますし、協議に設計技術者と経営に詳しい者と複数で加わることもあります。
 ある事業体の中だけでは解決が難しかった課題が他の事業体との連携により解決する場合もあります。京都府では、三つの圏域ごとに連絡会議が開催されており、その中で、ある事業体の浄水場が老朽化していたところ、隣接事業体が近くに浄水場を所有していたことから、その事業体からの受水について話がでて、その後、お互いにメリットがあることから、その事業体との用水供給事業が実現したことがあります。私も協議に加わらせていただき、その後の送水管や関連設備の設計にも携わらせていただきまして、良い経験になりました。
 当社は、和歌山県の水道ビジョンの策定にも携わらせていただき、その際には和歌山県内のすべての事業体のことも検討しながら取りまとめに関わることができたことで、こちらも大変よい経験になっています。県内の水道事情に詳しくなったことを受けて、県内の事業体の方からいろいろとご相談を受けることもあります。
 私もこの業界に長らくおりますので、業務に携わらせていただいた事業体の方から、お困りの際にご相談を受けることも多くあります。そういった際に、できる範囲でできるだけ親身にお答えすることが、今後の水道事業の未来を少しでも拓くことにつながると思っています。
 コロナ禍でリモート会議が増えてきました。これはこれでメリットがあるものですが、更新計画という重要なことを協議する場合は、実際に集まって行うことが、良い結論を導き出すために重要だと感じています。
 今後も当社の理念である「人財育成」を念頭において業務に励んでいきます。水道界の皆さまより、今後もご相談等でお引き合いをいただけましたら幸いです。

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