水道業界EXPO ’22

川﨑機工株式会社

キーワード
  • K形押輪
  • 補強金具
  • 給水車
  • 可搬式給水タンク
  • 組立式給水タンク

フルオートマチックの給水車開発へ

ユーザーニーズに寄り添って

■売り手市場を買い手市場へ

 当社が一体型給水車の分野に本格参入したのは8年ほど前です。開発するにあたり、既存の給水車を見渡してみると、日本全国では幅広い気候などの差や使用用途があるにもかかわらず、ほぼ同じ仕様のものしかありませんでした。給水車は基本的に売り手市場であり、作っているのは基本的に車のメーカーでしたので、水道については無頓着なところがあったのです。一方で当社はもともと配管機器メーカーでしたから、水道事業体に導入する給水車を売ったままでいるわけにはいかない。また、給水車は非常時に飲料水を運んでいくことがその役割ですから、車ではなく架装がメインになければならない。そこでモノづくりの基本である「使い手が使いやすいものをつくる」を念頭に、給水車の市場を売り手市場から買い手市場に変えれば、もっとニーズがあるのではないかと考えたのです。
 発注された場合はお客さまと綿密な打ち合わせをして、どんな機能が必要なのかを徹底的に話し合います。仕様書案を作ってニーズに合わせた車を考えます。デザイン、市章や町章だけではなく、ゆるキャラや市の花のラッピングなど、お客さまの欲しいものを提供します。安い買い物ではありませんし、使いやすさを考えた給水車を作り続けた結果、3年連続、9台一度に購入されるケースもあるなどリピート率も非常に高くなっています。

■見えてきた給水車のあり方

 給水車は災害時に動くものですから動かないに越したことはありません。ただ、実際に動かすときに「操作が分からない」というケースもまた少なくありません。
 和歌山市で水管橋が崩落した際も、支援に駆け付ける事業体から「明日使うけど、どうやって動かすの?」という問い合わせがありました。さらに最近の給水車は、車線逸脱防止装置や衝突軽減ブレーキなどさまざまな安全装置が付いています。きちんと動かせれば非常に役立ちますが、動かし方が分からないと困る。そこで考えたのが「自動化(フルオートマチック)」です。タブレットさえ使えれば、ポンプをどう動かして何リットル必要なのかがボタン一つで行えます。
 車もマニュアルからオートマチックになりましたし、ブレーキやハンドルも自動で車が判断するようになりました。給水車も同じような流れの中から、フルオートマチックという考え方が生まれたのです。
 もちろんリスクもあります。ハイテクにしていろんな機械を積むわけですから壊れる可能性も多くなる。そのためにテストを何度も繰り返します。私はデジタルには強くありませんが、完成して技術関係の人間に説明してもらいます。私が使えるようなものでなければ、事業体の方々も使えないと考えています。

■オペレーション人数を減らす

 フルオートのもう一つの利点はオペレーションの人数を減らすということです。給水支援活動の際、給水タンクから水を移す人間と、回転を見ながらポンプを動かす人間が必要でしたが「タンクに何リットル移す」と設定すれば、それを自動でやってくれます。
 また、基本的にタンクに水を貯めたら給水車は次の給水所に行きます。仙台市は東日本大震災を受けて、給水車の後ろに人が並ばないようなルールを作りました。給水車に人が並んでしまうと、安定的な給水活動ができなくなります。そういう意味ではわれわれの給水車は時代のニーズに合っていると思います。
 給水車はこれまで、全国で年間30~40台が発注されていましたが、ここ数年は頻発する災害により急激に増加しています。昨年一年間、当社だけで28台の給水車を製作しました。
 地震や豪雨はどこでも起こる可能性があります。さらに広域災害になると隣の市も被災しているケースがありますし、応援協定を結んでいても隣町に応援に行けず、孤立することも考えられますから、自分たちで給水車を持たざるを得ない状況になってきているということだと思います。

■さまざまなニーズに対応

 昨年は北海道、千葉、和歌山で水管橋が崩落しました。北海道は寒冷地ですから他県から応援に来られません。北海道に応援に行くために普通の給水車を寒冷地仕様に変えてくれという相談も受けています。
 事業体側も普通免許の取得を必須としたり、免許取得を義務付けたりするケースも増えてきました。若い職員の方は普通免許、しかもオートマチック免許限定しかないということもあります。普通免許では最大積載量として3.5㌧未満しか乗れません。簡易水道など町村の職員は人数が少ないですから、(大型免許を持っている)課長や部長しか乗れないということもあり、非常時に指揮をとれないケースもあります。そういうことでは普通免許で乗れる給水車も増えてきています。また、大きな給水車では狭い道に入れないので、小さな給水車がほしいというニーズも出てきました。
 当社のベースは押輪をはじめとする配管関連製品で、給水車はその付帯と考えていましたが、水道の業界は広いようで意外に狭いので、例えば給水車を一台納入した事業体が相談を受けて他の事業体に紹介してくれるケースも多くあります。事業体同士でも必ず関係性のある方がいらっしゃいますから、とにかくこまめに足を運び、お客さまのニーズを共に考えられるようにしています。給水車の配管も水道と同じですから、水道が分かっていれば、給水車が分かる。配管機器メーカーだから、水道に置き換えればお客さまである事業体の方が何を求めているかが分かるはずです。今後はフルオートマチックをはじめ、付加価値を付けた給水車をもっと世に出したいと考えています。
 今後も給水車や組み立て式のタンクを販売しつつ、水道界全体の方向性を探り、得た情報を地道な営業活動で伸ばしていきます。昔ながらのやり方ですが、人と人とのつながりでサービスや製品を売っていくことが近道ですから、お客さまとのおつき合いは何より大事にしていきたいですね。

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